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2011年2月14日 (月)

神経質礼賛 635.お大事に?

 医療機関にかかって最後に会計を済ませた時に受付の事務員から言われる言葉は「お大事に」と決まっている。調剤薬局で薬を受け取る時も同じである。「お大事に」とは無理をなさらずにじっくり療養して下さい、くらいの意味だろうと思う。診察医も「お大事に」で患者さんを送り出すことが多い。身体の病気やケガ、精神病の場合には、確かに「お大事に」なのだけれども、神経症の場合は「お大事に」はどうもよろしくないように思う。

 うつ病の人に「がんばってね」と励ますのはよくない、ということは広く知られるようになった。真面目・几帳面・責任感の強い性格特徴を持ったメランコリー親和型の人はがんばり過ぎてオーバーワークとなり、うつ状態に陥りやすく、さらには本格的なうつ病になってしまうことがある。本人は「これではいけない」とがんばろうとするのだがエネルギーが枯渇した状態では動きが取れない。この時にがんばれと励ましてしまうと、「自分は怠け者でみんなに迷惑をかけて申し訳ない」と思い込んで逆効果となってしまうわけである。「今は休むのが仕事」という対応が必要になってくるので、「どうぞお大事に」がピッタリくる。

(うつ病のストライクゾーンが極端に広くなった現在、このような古典的うつ病の割合は少なくなった。いわゆる「新型うつ病」(223話)・「30代うつ」・「擬態うつ病」(287話)・「逃避型うつ」・「5時までうつ病」などと呼ばれる自己中心的で他罰的な性格傾向に起因し、昨今の不安定で劣悪な雇用情勢も背景にあると思われるような病態では、単純に「うつは休め」(328話)という対応では解決は難しい。)

 一方、神経症は、よくあいさつ文にある「御自愛下さい」が行き過ぎた状態である。症状のせいにしてやるべきことをやらない生活態度が身についているのだから、「お大事」にしていたらいつまでたっても治らない。ますます症状に注意が向いて症状が悪化するという悪循環をきたすばかりである。症状を抱えたまま、不安なまま、それを何とかしようとすることをやめて、日常生活でやらなければならないことに手を出していく。神経症の症状はあっても死ぬことはないのだし、普通の仕事はできるのだ。「できない」のではなく「やらない」だけなのである。ビクビクハラハラのまま最初の一歩を何とか踏み出せば、よりよく生きたいという「生の欲望」が強い神経質性格を持った人ならば、動き始めた自転車のように、日常生活が回り出す。神経質が仕事や勉強や家事や対人関係に大いに活かせるようになってくる。そしていつしか「症状」を忘れているのである。神経症には「お大事に」よりも「辛くてもがんばろう」が合っていることが多いだろうと思う。

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