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2011年3月13日 (日)

神経質礼賛 645.大災害と精神科薬

 11日の東北関東大震災では大津波が発生して広域にわたり大きな被害が出ている。すでに1200人以上の死者・行方不明者が出ており、町全体が被害を受けたために連絡を取れず安否不明となっている人が1万人を超えているという。電気・水道・電話といったライフラインの復旧のメドは立っていない。道路や鉄道などの交通も大打撃である。そうこうしているうちに福島原子力発電所の放射能漏れ事故も発覚した。今後の影響拡大も懸念される。

 12日土曜日の外来には、旅行の途中で鉄道の不通のため自宅に帰れなくなり、家から持ってきた薬が足りなくなるので処方して欲しい、という人が新患で受診した。躁うつ病で治療を受けていて薬を切らして再発したことが何度かあるという。「全く同じ処方はムリかも知れませんがなるべく近い処方を用意しましょう」と言って「おくすり手帳」を見せてもらって絶句した。薬剤数は全部で20剤ほど。精神科薬だけでも10剤。いわゆるカクテル処方である。聞けば中学生頃から摂食障害やリストカットがあったとのことである。主治医の先生が苦労して薬を調整していかれたのだと思うが、なるべくシンプルな処方にしていかないと、いざという時に困ったことになる。安定した患者さんだとつい同じ処方を続けがちだが、御本人と相談しながらなるべく薬の整理をしていく必要がある。

 今回の大震災で被災した精神疾患の患者さんは相当数にのぼるだろう。避難生活などの不自由な環境のストレスばかりでなく、薬が切れて症状が悪化してしまう心配もある。神経症の人でも普段から多量の抗不安薬や睡眠薬を服用している人が薬を切らすと、退薬症候群をきたし症状のリバウンドが起きる。パニック障害・社交不安障害に多用されるようになったSSRIも薬によってはリバウンドをきたしやすいものがある。いざという場合のためにも神経症の人はなるべく薬に頼らないことが望ましい。

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コメント

こんにちは、最近このブログを知り、見るようになりました。

森田療法に大変興味があったので、いろんな方の本を読みました。
そして森田療法を行っている病院にも行きました。

大学病院には仕事の都合でどうしても予約が取れず、個人病院にしました。(2回ほど慈恵医大にいきましたが)

森田療法をやっていると歌っていながら、実際はすぐに薬を処方され、カウンセリングは名ばかりというという所がほとんどだと思います。

実際に10分以上のカウンセリングを受けようと思えば保険外となり、数万円になるようです。

私は医療ミスが原因で脅迫神経症&不安神経症(自己診断です)となり、不眠のため現在は個人病院でデパスとレンドルミンを出してもらっていますが、どちらも聞かなくなってきています。特に地震以来余震で目が覚めます。2日前に職場も変わったので極度の緊張や疲れがたまり、体調もよくありません。

長くなって済みませんが、精神科と薬と保険治療の関係がわかりません。どうしてカウンセリングだと保険が効かないのでしょう?薬では根本的な治療は無理だと思います。

長くなって大変申し訳ありません。

Schin様

 コメント拝見しました。デパスとレンドルミンを処方してもらっているが、効きにくくなっているということですね。どちらも同じベンゾジアゼピン系の抗不安薬と短時間型睡眠薬(入眠剤)です。。特にデパスは半減期6時間であり、効果を感じやすい反面、切れたことも感じやすい薬で、リバウンドが起きやすく、なかなかやめにくい面があります。主治医の先生と相談して、半減期のより長い抗不安薬(例えばソラナックス<レキソタン<メイラックス)に切り替えていくとか、SSRI(デプロメール・ルボックス、パキシル、ジェイゾロフト)を適度に用いて抗不安薬や睡眠薬は漸減していくのも一つの方法だと思います。

 カウンセリングは保険治療の対象にはなっていません(今のところカウンセラーの国家資格はなく、その気になれば誰でも自称カウンセラーで仕事ができます)。まともなカウンセリングをしている臨床心理士の先生にかかると1回30分1万円くらいが相場のようです。もちろん安いところもありますが、そうしたところは宗教の勧誘であったり、健康食品の販売が目的だったりすることもあるようです。本来は精神科医が診察した上でカウンセリング的な対応が望ましい患者さんには精神科医自身でカウンセリングを行っていくのが望ましいと思いますが、クリニックの経営上は5分診察で薬を処方していかないと採算が取れにくいため、そういう流れになりやすいのだと思われます。

 薬は確かに不安や不眠を改善する効果があります。しかしそれは一時的なものですし、どうしても薬に対する慣れが出てきて効かなくなってきます。森田療法では、症状を消そうとせず、症状は気になりながらも注意を外に向けて行動していく習慣づけをしていくことで、結果的に症状も軽減してくるものです。いろいろ森田療法の本を読まれているようですので、理論だけでなく、実際に行動に移していかれれば、しだいに効果が出てくるのではないかと思います。各地で行われている生活の発見会の集談会に参加されたり、メンタルヘルス岡本記念財団で行っている相談指導を利用されるのもよろしいかと思います。また、疑問点等ありましたら御意見をお寄せ下さい。わかる範囲でお答えします。

丁寧に説明して下さり、ありがとうございます。

私は寝つきは良く、何度も目が覚めるので、一番最初に処方されたのがソラナックスとデプロメールでした。

初めて飲んだ日、風邪のような症状が出、翌日も体が凄くだるくて仕事も休み、夕方頃には死にたくなるくらい具合が悪くなりました。

なので医師に伝え、今の薬に変えてもらいました。

癖になるのでは?と医師に聞いたところ、一日0.5を一錠なら大丈夫と言われました。

森田療法のように、眠れなくても多少具合悪くてもと思い、飲まずに頑張ったことが何度かありましたが、昔から患っている所(医療ミスの所)があり、そこが必ず悪化します。

患部を見てもらっている医師に、これ以上悪化しないよう疲れやストレスをためないようにと言われています。未だに経過観察中です。

いつかダメになるであろう患部ですが、なるべく持たせたいと思っています。特に容姿に関係する場所なのでつい執着してしまいます。

肉体はいずれ滅び、容姿だって皆崩れるんだからと思うようにしていますが、難しいですね。
男性は女性ほど容姿に執着しないのでは?と思い、男性のように生きられれば良いのにと勝手な思いもあります。

↑で教えて下さった生活の発見会はとても興味がありました。一度見学に行きたいと思っています。

大変丁寧に教えて下さり、本当にありがとうございました。

Shcin様

 最初に処方してもらったソラナックス
(半減期14時間)は初めて服用すると、
眠気やふらつきを感じることはあるでしょ
うが、風邪のような症状が翌日の夕方まで
続くというような可能性は低いでしょう。
デプロメールなどSSRIの代表的な副作用は
悪心・嘔気などの消化器系のものが主であ
り、10-20%の人に出ます。他にも多彩な
副作用が出ますので、こちらが原因だった
可能性が高いと思います。ただ、SSRIの
副作用は飲み始めや増量時の1週間程度で
収まる場合が多いので、その時期を乗り切
れれば、うまくいく方も多いです。

 診察時にあまり時間を取ってもらえない
ということですが、毎回受診する際に簡潔
にまとめた質問を一つ用意して主治医の先
生にぶつけてみる、というのも方法です。

 容姿が気になるのは女性ばかりではあり
ません。精神科外来には醜貌恐怖の人が来
ますが女性ばかりでなく男性も結構います。
客観的にはチャーミングな女性だったり、
いい男前だったりするのですが、容貌や縮
れ毛に異常にこだわって、生活に支障をき
たすほどになっているのです。異常ではな
く個性なのだと考えて、もっと悩み甲斐の
あることを悩んでいけば、自然と良くなり
ます。

 私自身、高3の時に事故でガラスの破片
で顔にケガをして、今でもケロイド状の痕
が3箇所ほど残っています。その頃はとて
もショックで(ただでさえ対人恐怖があり
ましたし)、もう人生終わった位に感じた
ものです。しかし、なってしまったものは
どうにもなりません。仕方なしに日常生活
を送っていくうちにしだいに気にならなく
なりました。

 薬を全部やめる必要はありません。良く
なってくれば自然に飲み忘れるようになり
ます。「医療ミス」に対する悔しさはあえ
て消そうとする必要はありません。顔を気
にしながらも、仕事や家事などやるべきこ
とを一生懸命にやって、時間がある時は趣
味を楽しむようにしていかれればよろしい
かと思います。

先生ありがとうございます。何度も申し訳ありません。

転職のため震災直後から職場が変わり、眠れないので毎晩飲んでいたデパスを昨日飲まずに寝ました。
夜中に何度か目が覚めましたが、今朝からものすごいだるさと疲労感が残っています。
これは急にやめたからなのでしょうか?

昨日は診察日だったので、「半錠飲んで翌日だるい時もあれば一錠飲んでも翌日平気な時があるのはなぜか?」と医師に聞きました。

医師は薬はその時の体調や精神状態によって効き目が異なるからそのせいだと言いました。

薬は特に毎晩飲むように言われておらず、自己判断で頓服として出されています。

しばらく生活リズムを整えるために…みたいに言われたのですが、急にやめるなと言う事だったのかはわかりません。次回聞いてみたいと思っていますが予約が3週間後です。

先生のおっしゃられてるリバウンドなのかな?とも思いました。

小さい子供も2人いるので休日も疲れます。

急にやめるとよくないのでしょうか?減らすにしても半錠をどれくらい続けてやめてみれば良いのかな?と迷います。

診察時にはこれから聞きたいことを上手くまとめて聞くようにしてみます。

長くて大変申し訳ありません。
丁寧に教えていただき、ありがとうございました。

S様

 直接診察させていただいたわけではないので、以下はあくまでも参考意見です。お役に立てれば幸いです。

 デパスを毎日服用されていて、急にやめた場合、反跳性不眠いわゆるリバウンドが出ることがあります。2,3日は一過性に症状が悪化する可能性はあるでしょう。もっとも0.5mg1錠であればそう深刻なものではないと思います。

 私の外来にもデパスがなかなかやめられない方がいます。抗不安薬のデパスは短時間型である上、抗不安作用や筋弛緩作用が強いという特徴があるため、慣れてしまうと他の薬に比べてやめにくい傾向があります。昨日書きましたように、より半減期の長い抗不安薬に変更したり、同じ短時間型でも作用が弱いリーゼ(デパスと同様に半減期6時間)に切り替えたり、デパスを半分に割って(割線がないのでちょっと難しいのですが)服用してもらうとかしています。1日おきに服用することを勧める先生もいます。減量したり置き換えたりして、1-2週間たって問題がなければ、さらに減量もしくは中止を試みるというようにしています。

 森田療法の立場からしますと、眠れたか眠れなかったかに一喜一憂しないことが大切です。なぜかというと神経症からくる不眠は不眠に対する強いこだわり・・・不眠恐怖だからです。眠れなかったらどうしよう、と思えば思うほど眠れなくなるもので、一種の悪循環なのです。自分では一睡もしてないと感じても、実際には眠っていることはしばしばあります。
 ですから、眠れた・眠れなかった、薬を飲んだ・飲まなかった、ということよりも、その日1日、仕事や家事や趣味で充実した生活を送ることに力を入れることが重要です。S様の場合、新しい職場に移られて慣れない環境で働かれ、家事もしておられるのですから、100点満点で120点いや150点が取れているようなものです。もう少し御自分の評価を高くして、休める時には適度に休符を入れるということでよいかと思います。とりあえず、薬の減量・中止は主治医の先生と相談しながら、ゆっくりやっていけばよろしいのではないでしょうか。

ありがとうございます。

先ほどめまいがして少し怖かったのですが、半分にして1日置きで様子を見てみようと思います。

確かに予期不安が不眠を悪化させていると思います。

医療ミスは悪くない歯を抜かれた事なのですが、もともと珍しいくらい悪い噛み合せで、唯一噛み合っていて一番使っていた歯を抜かれたために他の歯へ負担がかかり、痛みをほぼ毎日感じています。

が、森田療法のおかげで(本を読んだだけですが)痛みを感じながらも普通に生活が送れています。

次回の診察時によく相談し、眠れなくても支障きたさないようにまずは1日置きにしてみます。

こだわらないのが一番の薬ですね。

実際に見てもらってないのでこのような質問は大変迷惑だと思いましたが、辛いのでさせていただきました。

丁寧に教えて下さり、本当に感謝しております。

ありがとうございました。

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