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2011年5月 9日 (月)

神経質礼賛 664.鬱は伝染する

 長く通院している患者さんたちで、春先に調子を崩す人は多い。人間も動物の一種で、冬眠はしないものの冬モードからの切換えの際に心身の変化をきたしやすいのだろうと思ったりもする。また、3月・4月は年度の切換え時でもあり、進学・就職・転勤・転居といった生活上の変化が起きやすい時である。本人の異動はなくても職場で周囲の人が入れ替わるとガラッと雰囲気が変わることもある。社会環境上の変化は気候の変化よりもさらに大きな影響を及ぼす。特に気分障害(うつ病・躁うつ病)の患者さんはそうした影響を受けやすい。

 それに加えて、今年の春は東日本大震災があった。親類・友人が被災したという患者さんの調子が悪くなるのは当然だとしても、そうではない患者さんも長時間報道番組を見続けているうちに抑うつ気分が強くなってしまったり、不眠が悪化したりする傾向がみられた。神経症の人で、地震や津波が心配で、携帯電話の地震警報をセットしたら、夜中もしょっちゅう警報が鳴って、眠れなくなってしまった、と訴える人もいる。

 報道番組で家族を失った人たちの悲しみを見て何とも思わないのはよほど鈍感力の強い人くらいだろう。被災した方々を気の毒に思い、自分が同じ立場だったらどうだろうかと考えるのが普通の人である。毎日報道番組を見続けているうちに少しずつ抑うつ気分に傾いていってもおかしくはない。『鬱るんです』なんていう題名の本が出ているけれども、実際のところ鬱は伝染する。うつ病の周囲の人もうつ状態に陥りやすい。続けて震災関連番組を見ているうちに調子が悪くなるのは、被災者の人々への心理的同一化が起きるためではないかと思う。

被災した方々を思いやることは非常に重要ではあるけれども、たまたま今回被災しなかった私たちが元気であることが、最大の支援になりうる。生かされていることに感謝しながら、働き、時には遊び、たまには旅行もし、与えられた一日を有意義に過ごしていくように努めていくことが大切なのではないだろうか。それとともに神経質を生かして、来るべき大災害に備えていくことである。

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コメント

神経質礼賛拝読しています。
神経質を生かす事の大切さを感じました。
ありがとうございます。

gai様

 コメントいただきありがとうございます。

 どんな性格でも、それを生かすか殺すかで差が出るものですが、神経質性格は特にその差が大きく出やすいと思います。自分の方にばかり注意が向けば神経症に悩むことになる一方、四方八方に気を配るようになれば神経質を生かして大活躍できます。

 お役に立てましたら幸いです。

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