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2011年6月10日 (金)

神経質礼賛 674.宇宙飛行士も験(げん)を担ぐ

 6月4日付毎日新聞夕刊のトップ記事は、『不思議な「験担ぎ」 朝にシャンパン 車輪におしっこ』と題して、ロシアの宇宙船ソユーズに乗る宇宙飛行士たちの験担ぎについて書いてあった。面白い記事なのでちょっと紹介しておこう。それは人類で初めて宇宙飛行に成功したガガーリン飛行士をまねた行為が定着したのだそうだ。打ち上げの朝にシャンパンを飲み、打ち上げ台へ向かうバスを降りた時にわざわざ宇宙服のファスナーを下ろして車輪に向かって小便を「発射」するという。逆にやってはいけないこともある。ガガーリンが戦闘機の墜落事故で死亡した朝、忘れ物に気付いて自宅に戻ったというエピソードがあって、以後、宇宙飛行士たちは忘れ物に気付いても自宅に戻らないようにしているという。6月8日にソユーズに乗った日本人宇宙飛行士も郷に入りては郷に従えでその習慣に従ったらしい。

 地上で自動車の故障ならば路肩に車を止めればよい。戦闘機の故障はそれよりもはるかに危険だが、脱出してパラシュートで降下するという非常手段がある。だが、宇宙船の故障は逃げ場がない。死に直結する。それだけに宇宙飛行士たちは常に不安との闘いを強いられる。迷信だとわかっていても験を担いで安心したい、という心理はよくわかる。

 しかしながら、験を担ぐのもほどほどにしないまずい。強迫神経症(強迫性障害)の場合、験担ぎ即ち強迫行為のために日常生活に支障をきたしてしまう。不潔恐怖の人では時間をかけて何度も手を洗う。それだけでは心配で消毒薬を何度も使う。もちろん清潔にしていけないことはないのだけれども、そのために膨大な時間と労力を費やす意味はない。単にその場の安心を得るがための「儀式」になってしまっているのである。不完全恐怖のため、家のカギの閉め忘れがないか、電気の消し忘れやガスの元栓の締め忘れはないか、といった確認も1回はともかく2回、3回と繰り返すのは無意味であるばかりでなく、時間がかかって後の行動に支障をきたす。これももはや安心を得るための儀式であって、2回やれば3回目をやりたくなり、3回やれば4回目をやりたくなって、エンドレス化する。困った人は家族を巻き込んで家族に確認させる、なんてことをやっているとますます深みにハマるだけである。

 今では強迫性障害の治療はまず薬物療法という流れになっている。しかし、薬で不安を軽減するだけではなかなか治りにくいし、一時良くなっても再発しやすい。不安なままに儀式はガマンして次の行動に移っていくということを続けていけば、その時は苦しいが徐々に症状は良くなっていく。治すには悪いクセを直すのと同じで、本人の努力が必要なのである。

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