神経質礼賛 740.小学程度・中学程度・大学程度
私は若い頃、対人恐怖や強迫観念に苦しんだ。小学校3、4年生くらいから種々の強迫観念にとらわれていたし、中学・高校時代は対人恐怖に悶々としていた。誰にも相談できず、秘かに図書館で心理学の本や自律訓練法の本を読んだ。残念なことに森田療法の本との出会いはなかった。何とか神経質な性格を改善して大胆な人間になりたいと思ったが、当たり前のことながらそれは実現しなかった。強迫観念にとらわれながら、人前が恐ろしいと思いながら、仕方なしに行動しているうちにそうした悩みがだんだんと気にならなくなってきたのは20代半ばになってからである。しかし、この程度では、森田正馬先生が言われた「小学程度」のレベルなのである。
世の中の現実で、誰もが人並みにそうやっているところの「苦しいままに働く」、それが小学程度、次に「苦しい事はいやである」そのままの事実を認識するのが中学程度、さらに「いやとか好きとかの名目を超越した」のが大学程度である。(白揚社:森田正馬全集第5巻p.653)
小学程度では、いやなことをいやでないようにしたい、という「思想の矛盾」がまだ残っているから、状況次第ではまた「症状」に苦しむことになる。事実唯真つまりあるがままの姿勢が身に付くのが中学程度である。ここまでくれば、神経質の良さが生かせるようになってくる。私は大原健士郎教授のもとで森田療法を学んでようやく中学程度になったとは思う。しかし今でも大学程度になったという自信はない。森田大学浪人中である。偉そうなことを言っているが、自分はまだまだだと反省している。
早いもので、当ブログ開始からもうすぐ6年になります。おかげさまで今年は中間決算とでも言えるブログ本『神経質礼賛』を出版することができました。皆様には大変お世話になり、ありがとうございました。
相も変わらず一切飾り気なしの無愛想なブログですが、一旦動き出したら簡単には止まらない神経質性格ゆえ、マンネリと言われても、まだまだ続いていきそうです。皆様から有益なコメントをいただき、とても励みになっています。来年もよろしくお願いいたします。どうぞ良いお年をお迎えください。 四分休符 拝
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