神経質礼賛 731.内気な人の就職活動
TVニュースで私が住んでいる県内の来春大学卒業予定者の就職内定率が発表され、約52%とのことである。景気低迷に加えて東日本大震災の影響もあって全国的に低調らしい。昨日の毎日新聞夕刊に出ていた記事によれば全国では大学4年生の就職内定率(10月1日現在)は59.9%と過去2番目に低い数字なのだそうだ。そんな中、早くも大学3年生の就職活動が始まった。私のように緊張しやすく人前が得意でない神経質な学生さんたちにとってはきびしい日々が始まっているのではないかと思う。
読売新聞には毎週火曜日に「就活ON」という就職活動関連記事が掲載されていて、その中に「小島貴子(東洋大准教授)の親向け講座」というコラムがある。11月29日の記事はとても良い記事だったので紹介しておこう。大学3年生の父親から「息子は消極的で内気なため、厳しい状況に意気消沈しています」という質問に、「活動的で明るい学生は目立つけれども企業はそのような学生だけを欲しがるわけではない」「消極的で口数が少なくても自社のことをよく理解していると感じたら、企業はきちんと評価しようとする」「肝心なことは内気が不利だと思い込ませないようにすることです」と回答されている。
企業側としては、外向的で積極的な人は欲しいけれど、そういう人ばかりではうまくいかない。いくら口先がうまく要領が良くても脇が甘い人は大きなミスを犯しがちだし、転職しやすい。まじめにコツコツ働いて社内からも取引先や顧客からも信頼される神経質人間は貴重な人材である。
最近、世間を騒がせている大手製紙会社の御曹司。国立最難関大学法学部を卒業し芸能人とも交流が深い積極的な人物だったのだが、株で失敗したのを取り返そうとカジノにのめり込んで100億円近い借金を関連会社から「融通」して逮捕された。ギャンブルで儲かるはずがないことは子供でも知っている。同じくお騒がせの沖縄防衛局長。記者たちと懇談の席で女性や沖縄県民を侮蔑するような卑猥な発言をして更迭された。エリートで外向的積極的であっても神経質が足りないとこういう落とし穴にはまるのである。小心翼々の神経質人間では到底ありえないことである。
内気で神経質であっても悪いことはない。むしろ長所なのである。面接の時に緊張してあがったり言葉が詰まったりしてもそれだけで落とされることはない。それだけで落とすような会社に未来はない。赤面するのは誠実さをアピールしているのだと考えればよい。神経質学生さんたちは、ぜひ自分の長所を生かして、小心なまま笑顔で就活に励んでいただきたい。
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