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2012年2月 6日 (月)

神経質礼賛 753.漢方入門セミナー

 一昨日は午後から県の精神保健指定医会議に出席し、昨日は一日、メーカー主催の漢方入門セミナーに参加した。指定医会議はいつから始まったか覚えていないが、年1回の集まりで年度末の公共工事よろしく2月にある。以前は行政側に批判的意見を述べる院長もいたが、現在では質問はできないようにしているため、会議とは名ばかりで、行政側の説明と厚生労働省関係の役人医師の講演を聞くだけである。私は何度かアンケートに「遠方から参加する人は大変であり、このIT時代、メールか動画を流せば無駄なガソリン代もかからないではないか」と意見を書いたが、反応もないので、バカバカしくてアンケートに記入するのもやめている。

昨日の漢方入門セミナーは大変ためになった。最近は大学医学科でも漢方薬の講義をするようになっているらしいが、私の医学生時代にはそんな講義は全くなかった。多くの医師たちは臨床の場で患者さんを通して学んでいたわけである。今回の講師は心療内科を専門とする開業医の先生だった。午前中は漢方の考え方と診断法ということで、「気血水」「陰陽」「虚実」といった病理観、「瀉」と「補」という治療法について学んだ。やはり本で読んだだけではわかりにくいが講義してもらうと理解しやすい。午後は具体的な症例を通して「メンタル・心療内科領域の漢方治療」「痛みと漢方治療」というテーマでとても興味深い内容で時間が短く感じられた。

西洋医学では統計的有効性が追求されるのに対し、漢方は個人差を重視した医学ということになる。そして広義の漢方には鍼灸はもちろん「食養」「気功」「太極拳」も含まれる。まだ病態が軽度で可逆的つまり自然治癒力で回復しうる段階で手当てしたり病気になることを予防したりする考え方は西洋医学にない部分である。客観的な症状が出たらそれを手術や薬で取り去ればよし、という西洋医学的発想だけでは限界があるしコストもかかる。

森田療法も漢方と同様、東洋的思想をバックグランドに持っていて、病気の部分を取り去るというよりも、その人の健康的な部分を伸ばして自然治癒力を引き出す治療法であり、さらにはよりよい生き方を身につけるという面も持ち合わせている。しかも薬物療法に比べれば低コストであり、本で勉強してそれを実践して自分で治す人もいる。うつ病の人を見つけ出して医療機関にかかることをすすめる行政の対応は、それはそれで自殺予防の意味はあるだろうけれども、パーソナリティの問題に起因するケースや職場の問題に起因するケース、さらには健康人にみられる軽いうつ状態にまで薬物療法が行われるという「副作用」もある。そして医療費をどんどん押し上げる一因となる。西洋医学的発想だけの保健行政には無理があるのではないだろうか。

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コメント

先日は私のホームページに過分な評価をいただき、ありがとうございました。
私は生活の発見会ホームページの関連図書のページの担当もやっているのですが、ご著者を掲載させていただきました。
http://www.hakkenkai.jp/books.html#b01

 先生、こんばんは。

 本屋に注文していた「神経質礼賛」がやっと届きました。近々遠出をするのでその車中で読もうと思ってしばし我慢していますが、ちらちらめくってみました。構成が読み手本位で嬉しいです。「診察室」、「森田療法」、「傑物伝」等に分かれていて、そのときの興味に応じてテーマを選べるので便利です!

 「仕事が人を治す」、感動しました。統合失調症の人が仕事をすることによってそんなに落ち着くなんて・・その人、良くなって本当によかった。仕事をすることが人にとっていかに大事か、教えてられている気がします。仕事をすることは人の幸せの根源の根源をなすのかもしれない。

 しばらく心に留めておきたいお話です。ありがとうございます。

遊歩司書様

 発見会ホームページ拝見いたしました。関連図書のページに拙著を加えていただきありがとうございます。発見会の司書もなさっているのですね。
 遊歩司書様ご自身のホームページは隅々まで神経質が行き届いたすばらしいものだと思います。新着情報が楽しみで時々のぞかせていただいています。

 昨年の都道府県立図書館に続いて、先月上旬に東京23区立図書館(新宿区は昨年8月に寄贈済)と横浜市立・名古屋市立図書館といくつかの大学図書館へ郵送で本を寄贈いたしました。少しでも多くの方々に読んでいただけたら幸いです。

teardrop様

 拙著をお買い上げいただきありがとうございます。「第3章森田の言葉を読む」は50音順になっていますので、また思い出して読むのに便利かと思います。「第5章神経質傑物伝」本当はもっと大勢載せたかったのですがページ数の関係でカットされています。ブログ上には大作曲家から芸能人まで少なくとも30人以上は取り上げていますので、お暇な時にブログ内を探検(?)してみて下さい。
 

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