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2012年4月27日 (金)

神経質礼賛 779.高価な治療器

 不眠を訴える高齢男性が初診でやってきた。なかなか眠れないし、眠っても途中で目が覚めてしまって困る、と言う。かかりつけの内科の先生から弱い抗不安薬と短時間型睡眠薬が処方されている。この人は定年退職してからも長いこと別の職場で働いていた。その仕事を辞めてからというもの暇を持て余して、午前中は近所の健康器具販売所に通い、そこで過ごしているのだそうだ。販売員が「△△堂大学病院にも入っている」と言うその機械を無料でかけてくれるということで「タダなら」と思い毎日通っていた。今回眠れない症状が出てきたので販売所の人から強く勧められてついに53万円もするその機械を買った。「精神科の薬を飲んだら機械の効果が出なくなるから飲んではいけない」と言われて薬をやめたとのこと。この機械は電位治療器と呼ばれるものの範疇に入り、一応は認可を受けて製造しているものだ。これだけ高価な機械であれば少なくともプラセボ効果が出そうなものだが、「パワー○○○」と称するその機械はこの人には効果がなかったようだ(○○○には健康を意味する言葉が入る)。

 御本人は見るからにお元気そうで食欲低下・体重減少もない。眠れないことにだけこだわっている。付添の御家族に聞けば、眠れないからと言って朝は10時頃まで寝ているそうだ。当ブログを普段からお読みの方々はすでにおわかりだと思うが、これは不眠というより不眠に対する過度のこだわり、つまり神経症性不眠である。「一番大切なのは生活のリズムを作ることで、眠れようと眠れまいと朝は6時とか7時とか決まった時刻に起き、なるべく明るい外に出るようにする。風呂は熱くしない(この方の場合42℃の風呂に入っている)」という注意をした上で、それでも眠れなくて辛ければ、内科で処方された睡眠薬を飲むか、この漢方を飲んでみて下さい、とツムラ抑肝散を処方しておいた。

 無料と称する治療器の施術はとんでもなく高くつくことになる。それに対して、生活リズムを是正し不眠を相手にしない森田療法的アプローチは極めて安上がりである。そしてその通りに実行すれば着実に効果がある。どちらがトクか。よーく考えるまでもないだろう。

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コメント

四分休符様!こんばんは☆
ご無沙汰しております (^_^)/~
森田療法における“感情”について、
悩んでいます。
“感情”と“考え方”ですが、
今日は、雨が降っています。
気が重くなるのは、感情だと思いますが、
考え方を少し変えて、
今日は、雨だから、しっとりと、・・・
すると、“気が少し落ち着く”
というのは、
感情のコントロールになるのでしょうか。
“感情”と“考え方”の関係が、
今ひとつ、理解できないのですが、
よろしくお願いします。

19630303様

 雨の日は鬱陶しいと感じるのが普通です。
 私も朝の出勤時に雨が降っていると気が重くなりますが、天候はどうにもならいので仕方なしに駅へ歩いて行きます。
 私のような古い人間なら知っているフォーク歌手・小室等の歌「雨が空から降れば」の一節に「♪しょうがない雨の日はしょうがない」とあったことを思い出します。

 森田式にいけば、嫌な気分を嫌でないようにせず、仕方なしに行動していくということになります。そのうち嫌な気分は「感情の法則」の通りに消え去っていきます。

以下御参考まで

第10回形外会(昭和6年2月22日)より

 苦痛は苦しい。努力は骨が折れる。これは花は紅・柳は緑というのと同様で、あるがままの如実である。しかるに苦痛や努力は人生の当然であるから、これを肯定して、これを苦しいと思わず、満足としなければならぬという時に、柳は紅に、花は緑に感じなければならぬという様に、そこに私のいわゆる思想の矛盾が起こって、事実唯真という事がなくなり、強迫観念の発生条件ができるのであります。(白揚社:森田正馬全集第5巻 p.101-102)
(第56回形外会…第5巻p.643にも「夏は暑く・冬は寒い、花は紅・柳は緑」とある)

 暑いのも寒いのも雨が降るのもどうにも仕方ないからそのままにして、その時々でやるべきことをやっていく、というのがお答えです。

四分休符様!
おはようございます☆
懇切丁寧な回答、ありがとうございます。
症状が酷い時に、この症状は、
“慎重に”“丁寧に”行動しなさい
という“神様のお告げ”なんだと
考えることは、・・・
森田療法、認知行動療法???
また、症状を“味わう”“みてやろう”と
考えることは、コントロール???
そうなんです・・・
“ありのまま”“あるがまま”の定義が、
よくわからなくなったのです。
結論的には、・・・
自分にあった対応が、一番なんですが、
ある本によると、
自分の症状を、ひとり実況報告すると、
症状が落ち着くとも・・・
私が、今、考えているのは、
ポジティブthinking、プラス思考ではなく
エンジョイthinkingなんですが。。。
勝手な思いを書きました。
申し訳ありません。
素敵な日曜日をお過ごし下さい (^_^)/~

19630303様

 嫌だと思っていることを別の角度から見直して(認知の歪みを是正して)良い面を見出す、という認知療法的なアプローチはありうると思います。

 一方、森田療法の考え方からすると、嫌なことを嫌でないようにしようというように気分をいじろうとしていると、ますますとらわれの悪循環にはまってしまう。だから、気分はいじらずに行動を変えていく(とりあえず今できることを積み重ねていく)。その結果、気分は後からついてくる、ということになります。

 神経症の治し方は一つではありませんから、どの方法でいくかは御自身が選択すればよいでしょう。ただ、いろいろな方法をまぜこぜでやろうとすると混乱しますので、どれかに絞っていかれた方がよろしいかと思います。

四分休符さん!こんばんは☆

実は、この前、ある集談会で、・・・
このことを質問したのですが、・・・
納得した答えが、見つからなくて、・・・
“モヤモヤ”した気持ちだったのです。

ストレスになることが、たくさん存在する
現在、すべてを避けることはできないので
今できることを、やっていくというのは、
もちろんですが、少し考え方を変えることで、人生が楽しくなるのでは、・・・
と考えたのです。

先生のアドバイスを踏まえて、もう少し、
“試行錯誤”してみようと思います。

お忙しい中、ありがとうございました。
おやすみなさい (^_^)/~

考え方を変えるというのは、その人の意思、意志でしょうか。その人ご自身が作るもの。
感情は自然なもの。自然に出てくるもの。

楽しいように考える。考えて楽しくなれば、それにこしたことはないと思います。

22様
 コメントいただきありがとうございます。「感情は自然なもの。自然に出てくるもの」その通りです。楽しいように考える、それは結構だと思います。
 ただ、「プラス思考にしなければいけない」という考えにとらわれ過ぎて苦しんでおられる方もいます。そういう方には、考えはさておき、まずは動いてみることをお勧めしています。

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