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2012年4月16日 (月)

神経質礼賛 776.HbA1c(ヘモグロビンエイワンシー)が変わった

 年度初めの4月にはいろいろな変化がある時であるが、医療の世界では、糖尿病の指標として使われているHbA1cが変わった。HbA1cとは過去1-2カ月の血糖値の平均を反映する数字であり、糖尿病の診断・治療に非常に役立つものである。これまで日本で使われていたHbA1c(JDS)から国際的に用いられているHbA1c(NGSP)が使われることになったのだ。JDS値をNGSPに換算するにはJDS値に0.4(%)を加える必要がある(5以上10未満の場合)。同じデータでも今までより高く表示されることになり、それに応じて値の評価もズレることになる。従来はHb1Acの7%台を体温の37℃台に8%台を38℃台の熱に例えて患者さんに重症度を説明することが行われていたけれども再検討しなくてはいけないかもしれない。

現在、日本の糖尿病患者数は700万人以上と言われている。糖尿病は直接痛みが出るものではなく、本人に自覚がないだけに恐ろしい。進行すれば糖尿病性網膜症による失明、腎不全、脳梗塞、心筋梗塞、壊疽などの合併症を引き起こして取り返しがつかないことになる。

 糖尿病には、膵臓でインスリンを分泌するβ細胞が破壊されてインスリン欠乏が起きる1型糖尿病と、過食・肥満・運動不足のために相対的にインスリン不足に陥る2型糖尿病がある。現代社会で特に問題になっているのが2型糖尿病である。人類は飢餓に耐えられるようにできているが、この飽食の時代になって、それがかえって災いしているとも言われる。糖尿病を防ぐにはライフスタイルの見直しが必要である。

 精神科の患者さんでも糖尿病は少なくない。体を動かさないで間食や甘い飲み物を摂取している人はカロリー過剰になりやすい。それに比べると神経質の人の糖尿病は本当に少ないように思う。そもそも過食などできない人が多いし、たまたま健康診断で「メタボですから気を付けて下さい」とか「糖尿病の気がある」などと言われようものならば、真っ青になってカロリー減量に努めるからだ。神経質は糖尿病予防に役立つ。

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コメント

こんにちは。やはり医師だけあって糖尿病のニュースには敏感ですね。
結局毎日の注意深さが予防になるのでしょうかね。
神経質ながら僕は最近食生活が乱れています笑

ところで質問なのですが、人格障害(境界、自己愛あたり)の「治癒」とは一体何なのでしょうか?一般的に考えれば感情がある程度安定することでしょうか。だとしたらまあ分かりますけど、人格障害にも「自覚」はあるから苦しいんですよね。
それなら最終的には結局神経症の治癒(=自己同一)と同じであるはずなんじゃないかなあと思うんですがどうでしょうか。

黒犬様

 パーソナリティ障害に強い関心をお持ちのようですね。私見は、自己愛性パーソナリティ障害については80話(拙著P.73)、境界性パーソナリティ障害については133話(拙著P.74)に書いておりますが、これらの分野については精神分析や力動精神医学を専門とする医師に聞かれた方が適切かと思います。

 パーソナリティ障害は極めて偏ったパーソナリティのために自分や他人を苦しめるものですが、必ずしも自覚があるとは限りません。例えば、常習犯罪者の多くが該当するであろう反社会性パーソナリティ障害ではあまり自覚があるとは思えません。自己愛性パーソナリティ障害であっても、例えば大学医学部の臨床系の教授で権力も金も名誉も思いのままで自己愛が満たされているような人ならば、自分は苦しまないし自覚もないでしょう(周囲の人々は大変迷惑しますが)。

 そもそもパーソナリティ障害は病気ではありませんから、「治癒」という言葉が適切かどうか疑問を感じます。人格的な成長により、自己愛性パーソナリティ障害だった人が対他配慮ができるようになったり、境界性パーソナリティ障害だった人が行動化せずに感情の波を自分一人でこらえることができるようになったとしたら、パーソナリティ障害ではなくなるわけです。
 

なるほど、ご丁寧に有難うございます。
自覚があったりなかったりするあたりが神経症とは違いそうですね。治癒したかどうか判断する個人差も大きいのでしょう。
神経症はまさに「自覚の病」とでも言えそうです笑
何故こんなこと聞くのかというと、自分自身神経症がひどかった頃は境界性人格障害のレベルに達していたと思うのです、周囲に迷惑もたくさんかけましたが、ただやはり大きな行動を起こさなかったあたりは、やはり基盤は神経質だと思われます笑
おそらく養育環境によって神経質にヒステリー気質が加わったのかなあと想像しております。

黒犬様

 自分は精神病や人格障害ではないか、と心配し悩むのは神経質の人にしばしばあることです。おっしゃるように、神経症は、正常範囲内であるのに異常さを過大に自覚してしまうものですね。

よく考えてみれば、「何が問題なのか」ということを抜きにして考えてはいけないのですね。
人格障害であれば本人は無自覚であるが周囲が迷惑しているとか、本人も衝動的な部分に悩んでいるのかとか、
「状態」と「問題」は違うんですよね。

3年前に糖尿病とそこから派生したであろう脳血管の病気で父を亡くしました。
粘り強く弱音をはかない人でしたが、晩年、透析を受けるようになってから、「この糖尿だけは本当にいやなもんだ」と嘆いていました。
どうか父の仇、糖尿病をもっと、うんと叩いてやって下さい!

わたしも父に似て肥満型です。ますます非神経質が疑われます。最近知った「発達障害」というのに、かなり似ているのでございます(汗)

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 お父上は70歳前後でお亡くなりになられたのでしょうか。本当に残念でしたね。「粘り強く弱音を吐かない」お父上も神経質な方だったのかもしれません。

 神経質で太っている方は少ないのですが、時々はおられます。当ブログで紹介した、ダーウィン(293話)は肥満型で、通常は循環気質のように言われていますけど、私は明らかに神経質だと確信しています。親からは医者になるように勧められ、医学の道に入るも小心者のため挫折。「あがり症」があって学会発表は苦手。でも結果的には歴史に残る大きな業績を残しています。

 たらふく様もお父上から受け継いだ優れた資質を活かして御活躍されることをお祈りいたします。

四分先生、ご親切なお言葉まことに有難うございます。
実行は権力なり、でじりじりとやって参ります

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