神経質礼賛 775.タブレット型PCによるプレゼンテーション
最近、病院を訪れる各製薬会社の若い担当者さんたちは、会社から与えられたiPadのようなタブレット型PC(パソコン)を持ってきてプレゼンテーションするようになってきた。まだ慣れていないため、いざ説明の段になって思ったファイルが開けなくて往生する人もいる。また、本人はうまくプレゼンテーションできているつもりでも、こちらからでは画面が部屋の照明を反射して光ってよく見えないこともある。それに、挨拶もそこそこにいきなりPCを取り出して5分間ほどのビデオクリップを見せるのもどうかと思う。忙しいことを婉曲に言ったら、「では」と2倍速にして見せてくれた担当者さんもいた(!)。老眼の私ではタブレット型PCの画面で動画を見続けるのは疲れる。会社が提供している動画をそのまま見せるのでは能がない。ポイントとなる部分を自分なりにビデオ編集して、相手に応じたプレゼンテーションをしていく神経質さがあってもよいのではないだろうか。どこでも持ち歩けるタブレット型PCの強みを生かして面談までの待ち時間にボンヤリ座って待っているのではなく、そうした準備をすることだってできるはずだ。せっかくの文明の利器を活用しなくてはもったいない。
情報端末や無線LAN技術が急速に進歩して、ビジネスシーンも変わってきている。しかし、商談の際に大事なのは、相手の立場に立って考える、森田で言うところの「ものそのものになる」という姿勢であることは、いつの世になっても変わらないはずである。たとえ口下手であっても、少々要領は悪くても、長い目で見れば誠実な営業が一番評価される。逆に口先とハッタリで一時的に利益を上げるような営業では遅かれ早かれ評価はガタ落ちとなる。自分は気が小さくて困る、と悩む神経質営業マンの皆さんは安心してよい。短期的には目に見えて業績が上がらなくても長期的には顧客の信頼を得て会社の業績に貢献できるのである。神経質が足りなくては困る。神経質で大いに結構だ。
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コメント
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先生、こんばんは。昨夜のご返信、本当にありがとうございました。
「神経症でも何とかやっていける」という気持ちになっただけでも、進歩だと思っていました。でも、最近本ブログや「神経質礼賛」と出会い、たくさん礼賛して頂いているうちに、もっと積極的に自分を肯定したくなっています。そして、「神経質」の良いところも認め始めている自分に気づきます。
はい、気分本位をつつしみ、「あるがまま」の実践をするよう、自分を励ましたいと思います。それさえできていれば、他人に何と言われようと構いません!そして、私は鋭敏な神経質らしく、人の気持ちに敏感で、思いやりを忘れないようにします。
投稿: anxiety | 2012年4月13日 (金) 18時59分
anxiety様
「神経質でも何とかやっていける」が、いつかは「神経質でよかった」になるだろうと思います。
森田正馬先生の治療を受けてから、すばらしい人生を歩んでいった人の一人に山野井房一郎さんという方がいました。その方の著書『神経質でよかった』は名著であり、660話・661話で紹介していますので、お時間がありましたらご覧下さい。「神経質でよかった」をキーワードに検索すれば出てきますよ。
投稿: 四分休符 | 2012年4月13日 (金) 22時15分
先生、こんばんは。
製薬会社の方はそのようなプレゼンをしているのですね。うちの会社ときたら、相変わらず、書面の資料で訪問しています。遅れてるなぁ。でも効率的かもと思いましたが、書面で説明する良さもありそうですね。
私の職場には、ドクターもいますが、見た目、すごくおじいちゃん(失礼ですが)でもスマホをサクサク使いこなされています。驚きです。
私なんかより、先生や職場のドクターのほうが、はるかに柔軟性があり感心してしまいます。
投稿: アッシュ | 2012年4月14日 (土) 18時20分
アッシュ様
コメントいただきありがとうございます。
いろいろな情報ツールは便利ではありますが、そうしたプレゼンは意外と印象に残らなかったりします。講演でもパワーポイントのカラフルで美しいスライドを見せられても、後で肝心の内容を思い出せないこともあります。よく練られた口頭だけ、あるいは書面の説明の方が勝るかも知れませんね。
スマホを使いこなすおじいちゃん先生ですか。すばらしいですね。私はまだスマホを触ったこともありません(笑)。
投稿: 四分休符 | 2012年4月15日 (日) 01時05分