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2012年6月18日 (月)

神経質礼賛 797.長調を短調に変えると

 TVのCMに使われている曲を聞くと、つい何の曲だろうと反応してしまう。最近、耳についたのが、消臭剤「車のファブリーズ」のCMである。CMの前半は「アルプス一万尺」の歌を短調にしてリズムを変えたものだと気づいた。そして後半は元通りの長調である。前半の最後の音だけ長和音にしてあるのは芸が細かい。ファブリーズを使った途端に爽快になる、ということを曲の上で示したかったのだろう。「アルプス一万尺」の歌詞は日本で作られたもので、元歌はアメリカ独立戦争の頃に作られた民謡Yankee Doodleなのだそうだ。短調に変えるとずいぶん印象が変わるものである。

 

 神経質な大作曲家マーラー(402話・607)も交響曲第1番「巨人」第3楽章で、よく知られた民謡を短調に変えて引用するということをやっている。私が中1の時の音楽の教科書には輪唱で歌える英語の歌「Are you sleeping?」が載っている。元はフランス民謡「フレール・ジャック」。日本では「グーチョキパーで何作ろう」という替歌もある。マーラーはこれをスローテンポの短調にして、コントラバスの演奏から始めている。「荘重に、威厳を持って、引きずらぬように」と書かれてはいるが、足取りは重く、まるで葬送行進曲のようにも聞こえる。

 

 音の配列は同じでも長調と短調とではガラリと曲想が変化する。私たちの周囲で起こっている出来事は同じであっても見方によって長調にもなれば短調にもなるものである。神経質人間は悪い所ばかりに目が行き、悲観的に考えがちである。どうしても短調が多くなる。良いことがあってたとえ賞賛されても手放しで喜ばない。これは生の欲望が強く完璧を求めるがゆえである。森田正馬先生は次のように言っておられる。

 

 ヒステリー性や発揚性素質の人は、ほめられると、あっさりとそのまま喜ぶが、神経質は、なかなかそう簡単には行かない。妙なものです。神経質はほめられると、お世辞でないかと疑い、またこれを実際としても、ほめられる以上の責任を感じ、なおその上に、もし将来、その期待に反するような事があっては、かえってその信用が失墜してしまうという風に、取越苦労する。面白いものです。「勝って兜の緒をしめよ」という事があるが、神経質にこんな事を教えたら、寝ても兜を脱がなくなるから随分首筋が痛くなります。(白揚社:森田正馬全集 第5巻 p.379-380


 もっとも、悲観的、短調だらけでも悪くはない。その性格を生かせば、より質の高い仕事ができるのが神経質である。これではまだまだダメだ、と一層努力をするのである。自惚れて油断して失敗することも少ない。神経質であって大いに良い。

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コメント

突然すみません。コメントではなく、図々しいとは思いながら、お伺い出来ないかなと思うことがあるのです。

私は神経症を長く患っています。森田療法と出会えたお陰で強い症状は今はなくなり、後は自分次第なのだとは考えています。が、性格が弱くなってしまい、何とかしっかり仕事ができるようになりたいとは思っているもののなかなか気分本位から脱け出せず慢性的なストレスにあり、今もお医者さんに通っています。

今日、びっくりすることがありました。失禁してしまったのです。人前でなかったのは救いでした。私は40代の女性で、婦人科あるいは泌尿器科を受診すべきなのかもしれません。一方で悩むのは、今まで聞き及んでいることやネットなどを見ると、精神的なことからそうなることもあるのだろうかということです。午前中、仕事関係でミーティングがあり、じわじわとやってくる不安の中で午後やるべき事に向けて自分を励ましている状況の中でのことでした。

診て頂いている先生は男性で、とても面とむかって相談する勇気がでません。

のびノビ 様

 「性格が弱くなってしまい、何とかしっかり仕事ができるようになりたい」とお書きになっていますが、後半で仕事関係のミーティングに参加されているという記載がありますので、御自分では「全然ダメだ」と思いながら、客観的には十分に仕事ができているように思えます。今のままでよいのです。「生の欲望」が強い神経質人間は、決して満足することなく、より高きを目指すものなのです。

 失禁の件、40代、50代となってきますと、誰しも多かれ少なかれ、あるのではないでしょうか。骨盤底筋のゆるみが原因になっていることがあります。ことに出産を経験された女性では多くなります。対策として骨盤底筋体操というものがあります。多分ネットで探せば詳しい解説があるでしょう。また、過活動膀胱が原因の場合は薬の治療が奏効する場合があります。それ以外の原因のこともありますので、ご心配でしたら、泌尿器科か婦人科で相談されてはいかがでしょうか。重大なストレス下で失禁する可能性もないとは言えませんが、まずは身体的な面を調べるのが順番かと思います。

 先生、ご返信をどうもありがとうございます。

 私も「年齢だから仕方がない」とあきらめようとしています。精神は未熟なままなのに、肉体は容赦なく老いてゆき、戸惑いを感じます。

 また、唐突に甘えてしまった失礼にもかかわらず励ましのお言葉を頂き、とても嬉しいです。ご厚意に心より感謝です。

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