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2012年7月23日 (月)

神経質礼賛 808.退屈は充電完了のサイン

 精神科病院の病棟には、何もせずに一日を過ごしている患者さんがいる。作業療法や病棟レクリエーションへの参加を勧めても乗ってこない。そのままにしていたら入浴・洗髪もしない、着替えもしない、歯みがきや洗面もしない、髭は剃らず散髪も嫌がる、といった具合であるから、日常生活全般にわたり援助が必要である。こういう人に「何もしなくて退屈しませんか?」「やってみたいことはないですか?」と聞くと、即座に「退屈しません」「別にやりたいことはありません」という答えが返ってくる。精神病の薬は年々良いものが開発されているけれども、薬だけでこういった無為自閉状態を改善するのは極めて困難であり、スタッフの根気強い働きかけで、ようやく入浴してくれた、とか自分で洗髪してくれた、といったところである。それに対して同じ病気の人でも「退屈です」と答えてくれる人は見込みがある。入院している人ならば作業療法を勧めやすいし、外来患者さんの場合は気に入ったプログラムだけでもいいからデイケアに出てみましょう、と勧めると乗ってくれることが少なくないので、それを突破口に治療が進んでいく。


 神経症の治療法である入院森田療法では入院後すぐに絶対臥褥が行われる。期間は通常
1週間。娯楽や面会は禁止され、何もしないでひたすら寝続けるのである。典型的には安静期→煩悶期→退屈期という経過をたどる。生の欲望が強い神経症の人の場合は十分にエネルギーがあるわけで、何もしないで寝ているのは苦痛になってくる。退屈を感じて何かをしたいという欲求が強まる。そこで絶対臥褥後には円滑に作業期に入っていける。うつの人が絶対臥褥をすると、安静期のままで1週間が過ぎることが多い。まだエネルギーが十分ではないということなのだ。

 退屈だなあと感じる時は充電完了のサインである。それ以上休養していては「保養と怠惰は、似て非なるものなり」であり、かえって体も頭も使わなければなまってしまう。おっくうだなあ、面倒だなあと思いながらも、身近なところでやることを探して手を付けてみれば、やっているうちに気分も引き立ってくることになる。退屈を感じたら一歩踏み出してみることである。

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