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2012年11月23日 (金)

神経質礼賛 848.安易な薬物療法の害

 読売新聞のウェブサイトでは、ベンゾジアゼピン系(以下BZ系と略す)の睡眠薬や抗不安薬が安易に処方されるために、薬物依存に苦しんでいる人たちがいることを報じている。1113日付の同新聞にはそれらのレポートの要約とも言える記事が掲載されていた。さっそく、その記事を読んだ御家族から、BZ系の薬をやめてほしい、と要望があり、漸減して中止の方向で処方変更することにしたケースがある。特に短時間型のBZ系薬剤を急に中止したり大幅に減量すると退薬症候群が起きて、症状が急激に悪化したりケイレンを起こすことがあるので、減量・中止は慎重に行う必要がある。その一方で、本人がBZ系の薬の増量を強く希望し、減量困難なケースも抱えている。そうした例を示してみよう。プライバシー保護のため、複数例をミックスしたものであることをお断りしておく。


 
 30代男性。不眠や緊張のため、内科でBZ系睡眠薬と抗不安薬を処方されていたが、効果がない、といって、来院した。本人の強い希望で睡眠薬と抗不安薬がだんだん増量され、1種類では効かないということで、それぞれ2種類に増えた。薬物依存傾向を心配した担当医が、これ以上の増量はできない、と告げると他の医師が外来担当の日に受診して、「薬を強くしてほしい」と希望した。これ以上の増量は仕事のミスが増えたり車の運転中に事故を起こしたりするリスクを高めて有害であること説明し、増量はできないと告げると、表情が変わり、「いったい何年医者をやっているんだ!眠れない苦しみがわからないのか!」と怒鳴り、「俺は気が短いから何をするかわからないぞ!」と脅迫とも取れる言葉を発した。酔っ払いに絡まれているような感じである。BZ系抗不安薬を多量に飲んでいると酩酊状態同様になる。これでは、自覚症状は楽になっても対人関係で問題を起こすだろうし、車の運転も危険である。そこで増量はせず、前回と同じ処方とし、1種類の抗不安薬は今まで通りに服用しもう1種の短時間型の抗不安薬は就寝前だけにして極力日中は服用しないようにとアドバイスした。


 
こういうケースの場合、さらに長時間型の抗不安薬やある種の抗うつ薬や抗精神病薬に置換してから減量を図っていくことになるが、かなり長い期間を要する。もっとも、BZ系の薬だけを悪玉とする考え方には問題がある。BZ系は即効性があるので、急性期を切り抜けるには必要な薬剤である。そして、近年、不安障害やうつ病・うつ状態に多用されているSSRIにも今まで指摘してきたように問題がある(20話・684話)。結局はどの薬も処方はなるべく単剤で必要最小限の量にとどめ、精神療法や生活指導でその人の自然治癒力を引き出し適応力を高めていくことが大切だと考える。

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