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2013年2月11日 (月)

神経質礼賛 875.満面の笑顔

 ここ2か月ほど通院がなかった外来患者さんがしばらくぶりにやってきた。彼は、毎日遅くまで仕事をし、土日休日も仕事の電話がかかってきて対応に追われて休めない生活が続いて、弱っているところに加えて、上司から心無い発言を繰り返されて、うつ状態をきたして受診したのだった。会社に「適応障害(うつ状態)を伴う」の診断書を提出したら、上司から「そんな心の弱い人間はいらないから辞めろ」と怒鳴られ、会社へ行こうとするとパニック症状を起こすようになってしまった。武道で鍛えた巨体が萎んで見えた。人事課長のはからいで、休職し、少しずつ元気を取り戻してきて、リハビリ出勤の訓練をしていたところだった。

 今回は満面の笑顔で現れた。通院が途切れていたので心配していたが、その顔を見てほっとした。「もう薬は飲んでいませんが大丈夫です。すみませんが2か月前の分の傷病手当金の書類を書いてください」と。別会社に移って1か月以上たったという。「仕事の内容は同じだけれど、休日の体制はしっかりしていて電話対応で悩まされることもないし、気持ちよく仕事ができています」と語っていた(プライバシー保護のため内容を曖昧にしていますことをお断りしておきます)。

経済状況が厳しいためか、この種のパワーハラスメントを受けて受診する人が多い。それが怪しげな会社だったらいざ知らず、世間的には超優良と思われている大企業でも起きているのだ。人をどんどん減らしてコストを削減し、一人一人の負荷を上げて、つぶれたら個人の能力不足を理由に辞めさせるというやり方である。パワハラ上司もさらに自分の上司からパワハラを受けていたりする。そもそも医療で解決できる問題ではない。彼がよくなったのも、環境調整がうまくいき、彼自身もそれに合わせてリハビリを行ったからであって、医療としてできたことは一時的な対症療法に過ぎない。

目先の利益を追求するあまり従業員を人間扱いしないような会社に未来はない。従業員あっての会社である。森田正馬先生の言葉「人の性(しょう)を尽くす」・・・その人の力が最大限発揮できるようにする、ような会社でなくてはいけない。神経質人間だったと思われる武田信玄(729)の言葉とされる「人は城 人は石垣 人は堀 情けは味方 仇は敵なり」の通りだ。厳しい時代だからこそ、従業員を大切にして発奮してもらう会社が長い目で見れば生き残っていくはずである。

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コメント

 先生、こんばんは。いつもお返事をありがとうございます。 

「そんな心の弱い人間はいらないから辞めろ」とは、よく言えたものです。このようなタイプには端から思いやり・優しさを期待はしませんが、知性や自制心のかけらさえも感じられない発言です。その人事課長がちゃんと仕事をしてくれてよかった。その患者さんにとっても良かったし、会社だって救われたと思います。

 企業の経営状況が厳しいと、経営者も社員も苦しいのはある意味致し方ない面もありますが、それをいじめの理由にするのはなんとか止めたいものです。もっと良い方法、あるいはもっとマシな方法はある筈だと思うのです。私はよく勉強したいと思っています。

そして、子供どうしのいじめが問題になるといつも思うことは、私たち大人の社会でいじめが有る限り、子供のいじめがなくなる訳がない、ということ。まだ小さく、弱い子供たちが世の中の歪みの大きく受けてしまうのは当りまえだと思います。胸が痛みます。

anxiety様

 コメントいただきありがとうございます。

 人間も一動物ですから、他人を押しのけて生存競争に勝ち残りたい本能はありますけれど、同時に弱い立場の人を守ろうとするところもあってバランスが取れているのです。今回のケースでは、上司はとんでもない人でしたが、人事課長のおかげで救われています。パワハラとかいじめはなかなかなくなりませんが、大切なのはそれを闇に葬らずにまず声に出していくことだと思います。おっしゃる通りで、大人の殺伐とした空気は子供にも伝わります。大人がしっかりしなくてはいけません。

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