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2013年7月 8日 (月)

神経質礼賛 924.神経質の生かしどころ

 2か月前、勤務先の病院に、正知会(しょうちかい)といって鈴木知準先生から森田療法の教えを受けた方々の研究会メンバー10名の訪問があった。森田理事長と談話して森田正馬先生の色紙や遺品を見学していかれた。私は取次の小僧役をしただけだったが、見学された方々の感想文をいただくことができた。その中に興味深いものがあったので、ちょっと紹介させていただく。

 鈴木知準(すずきとものり・通称ちじゅん:1909-2007)先生については372話に書いているのでここでは簡単に記しておくが、旧制中学在学中に神経症に苦しみ、森田先生の自宅兼診療所に入院して全快。そればかりか勉強にも集中できるようになって旧制浦和高校から東京大学医学部に進学。その後は森田先生の勧めに従って一旦内科を専攻した後に精神科に転科。神経症に苦しむ人々を救おうと静岡に診療所を開設。のちに中野に診療所を移転し、5000人もの入院治療にあたられた。一生を森田療法に捧げられた方である。

 森田先生のところでの入院生活では自ら仕事を探して行動していくことが求められた。約1週間の絶対臥褥を終えた入院患者さんたちは自発的に、清掃、炊事の手伝い、風呂焚き、飼っている動物たちの世話などをしていた。知準先生は、そうした仕事の中で森田先生の机の掃除が大変だったとよく語っておられたそうである。というのも、机の上には小さな置物がたくさん並べられていたからである。置物を一旦取り除いてから机の掃除をして、また置物を並べるが、先生からは置物の位置が違うと指摘されることがあった。神経質の人は、そのような細かいところまで配慮するようでなければダメだ、と知準先生は患者さんたちによく言っておられたそうである。今回、見学された方は、森田先生の遺品の小さな置物を見て、これが知準先生が掃除の際に並べられたものなのだろう、と感慨深かったということだ。

 森田先生は誰にもこのように細かい(厳しい)要求をしたわけではない。人を見て法を説け、ということをよく言われていて、優秀な患者さんはさらに教育しようとして、このような指導をされたのである。知準先生は「森田療法と私」と題する森田療法学会雑誌の記事(第7巻79-801996)の中で「他の入院生に比して極めて厳しい生活態度、特に夕食前までは自室に入らぬことを指示された。私は一生懸命これを守った。3日に1回位「鈴木君だめではないか」と注意されていた」と書かれている。

 置物の位置が少しくらい変わったところでどうということはないじゃないか、と思われるかもしれない。しかし、一事が万事であって、職場で仕事をする際にもそれくらい周囲に気を配って神経質を発揮していれば、ミスの少ない良い仕事ができ、相手にも喜んでもらえるのである。神経質の生かしどころはどこにでもある。神経質を症状探しのために無駄遣いしないことである。

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コメント

「鈴木君駄目じゃないか」と言われたことは、先生も何度も講話でおっしゃっていました。あと、思い出したのは、森田先生とお風呂に入って油が浮くのでそれを救って捨てるような心配りが大切と教わったとおっしゃっていました。鈴木学校の入院が懐かしいです。入院は合宿みたいで楽しかったです。若い人が多かったので・・・

神経質 様

 コメントいただきありがとうございます。

 森田先生も知準先生も、ごく平凡な日常生活の中に神経質を生かし神経症を治すツボがあることを教えておられますね。先生や他の入院者と同じ釜の飯を食べ、同じ風呂に入って学んだ体験はとても貴重だと思います。残念ながら現代ではそれを再現することが困難になっています。

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