フォト
無料ブログはココログ

« 神経質礼賛 962.ゆるキャラ・家康くん | トップページ | 神経質礼賛 964.スピード感はいらない »

2013年11月 8日 (金)

神経質礼賛 963.ケチケチ家康くん

 ピアノの鍵盤の袴をまとったゆるキャラ家康くんと違って、本物の家康は質素倹約そのものだった。よく言えば質実剛健ながら、ケチな戦国大名としても知られている。武将たちの間で流行った茶の湯を愉しむことはほとんどなく、漢詩や和歌などの文学にはあまり興味を示さなかった。新しい服は買わず、古い服を洗わせたものをよく着ていたそうである。ふんどしは洗濯をあまりしなくていいように薄黄色のものを愛用していたし、領民にもそれを勧めたという。便所で用を足した後、手を拭こうとした懐紙を風で飛ばされて、裸足のまま庭まで追いかけて行って取ったという話もある。女中たちがたくさん食べないように漬物はわざと塩辛くさせたなどとも言われる。ただでさえ、狸爺のイメージが強いところにもってきて、ケチケチのエピソードが数多くあるので、ますますイメージが悪くなりそうだが、実は成功した戦国大名の多くはケチだった。金貸しをしていた前田利家もケチで有名だったし、来年の大河ドラマの主人公・黒田如水(官兵衛)も自分が使って不要になった物を部下に売りつけるなどということがあったそうだ。しかし、そうした蓄財は合戦の際に武器や兵や兵糧米を調達するためであり、武芸や兵法とともに経営能力も大切だったのである。派手好きにみえる豊臣秀吉にしても、人の心を惹きつけるためには惜しげなく金を使ったが無駄なことには使わなかった。派手を好んだのも自分の力を強くアピールするとともに他の大名たちに金を使わせるのが目的だったと考えられる。

三島森田病院には「質実剛健」と書かれた森田正馬先生の色紙が残っている。「昭和十一年三月 森田形外」とある。森田先生は「物の性(しょう)を尽くす」ということを言われ、その物の価値を最大限生かすようにという指導をしておられた。風呂の湯は捨てずに掃除の雑巾がけに使い、さらに畑にまく、という徹底ぶりだった。新聞紙は捨てずに便所の紙として使ったし、チラシはメモや原稿の下書きに使った。飼っている小動物たちのエサは青物市場(青果市場)で捨てられたものを拾ってきていた。捨てられてしまう物でも生きるというわけである。ドケチのように思うかもしれないが、森田先生は郷里の小学校の講堂を建てたり備品を揃えたりするのに今の貨幣価値からすれば数千万円相当の寄付をしていたし、慈恵医大にも奨学資金を贈っていた。お金が最大限人のためになるように使われたのである。やはり、デキる人間は倹約上手ということなのである。

« 神経質礼賛 962.ゆるキャラ・家康くん | トップページ | 神経質礼賛 964.スピード感はいらない »

コメント

先生、こんばんは。私も風呂の湯は台所の床拭きに使うし、たまには洗濯にも使います。それって普通のことだと思っていました!

961話でのご返信、ありがとうございます。「年々酒量は減ってきています」とお聞きして、奥ゆかしくないですが、私の句を言いたくなってしまいました。私が句作をはじめて間もない頃のものです。

<湯豆腐やめっきり酒量減りし父>

当地は今日一段と寒くて、今夜は雪がくるかもしれません。雪って、私たちの生活に大いなる不便をもたらすし、時々恐ろしい目にも合うのですが、きらいにはなれないものです。とくに初雪の訪れには、胸の中がちょっと華やぎます。

anxiety様

 コメントいただきありがとうございます。

 普段から大切に水を使われているのですね。根っから森田を実践なさっていてすばらしいことだと思います。

 まさに御披露下さった句のようになってきている今日この頃です(笑)。

 つい2週間前は真夏日だったことを思うと一気に晩秋を通り越して冬に入ってしまったようです。私の住んでいる地域ではめったに雪に触れることがないので、憧れではありますが、雪の中の生活は屋根の雪下ろしやら車のスリップ事故やらで本当に大変だと思います。御不便ではありましょうが、コタツの中でよい句をひねる好機かもしれませんね。

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 神経質礼賛 962.ゆるキャラ・家康くん | トップページ | 神経質礼賛 964.スピード感はいらない »

最近のトラックバック

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30