神経質礼賛 983.七草粥
昨夜は当直で、今朝の病院食は七草粥だった。丼一杯に盛られていたので、こんなにたくさん食べられるだろうかと思いながらも、甘い煮豆と一口サイズのサンマの甘露煮が付いていて、ついつい箸が進んだ。胃にも軽くて、たまにはこういうものもいいなあ、と思う。七草粥の風習は平安時代あるいはそれ以前からだという。正月のハレの食べ物で疲れた胃腸を整えるのにはちょうどよい、という古くからの知恵によるものだろう。七草とはセリ、ナズナ、ゴギョウ、ハコベラ、ホトケノザ、スズナ、スズシロであるが、それぞれどんな植物だろうか。スーパーでは七草粥セットが売られていたりもするけれど、実物が全部わかる人はほとんどいないだろう。ただ、スズナはカブでスズシロは大根のことだから、この二つだけは大丈夫だ。カブやダイコンは栄養面に優れ、消化にもよさそうである。
以前、ラッキー7について書いたことがある(777話)。西洋では7という数字が好まれる。日本では末広がりの「八」という数字が縁起の良い数字として好まれるが、七草粥・七福神・七色の虹・七光り・七つ道具・七味唐辛子・七不思議・七曲りとみていくと、七には「多くの」というニュアンスがあるようで、意外に日本人も古くから七という数字を好んできたのかもしれない。
その七と八の両方を含む言葉に「七転八倒」がある。神経質人間、ことにパニック障害に悩んでいる人にとって、「七転八倒」は嫌な言葉であろう。また発作が起きて死ぬような苦しみを味わうのは嫌だ、といって電車に乗ったり会議に出たり床屋(美容院)に行ったりといった苦手な場面を避けていてはますます症状は悪化する。しかし、心臓が悪いわけではないので、パニック発作のために直接死ぬようなことはないのだから、心配でビクビクハラハラのまま、不安はそのままにして苦手な場面に飛び込んでいけば、多少の症状は出ても持ちこたえていれば、必ず良くなってくる。症状はあっても目的が果たせればそれでいいのだ、というつもりで行動していれば、もう一つの言葉「七転八起」となるのである。
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