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2014年2月10日 (月)

神経質礼賛 994.破邪顕正

 「現代のベートーヴェン」と言われた全聾の日本人作曲家の作品が実は他人の作であり、しかも全聾というのは嘘らしい、という話が新聞報道されている。実際に作曲をしてきた音大非常勤講師が自白して明るみに出た。すでに作品はコンサートで演奏されCD化されて販売され、その作品をソチオリンピックでフィギュアスケートのBGMに決めて練習してきた選手もいる。影響はいろいろな方面に波及している。

 音楽の偽作については「カッチーニのアヴェマリア」(351話)に書いた通り、名のある歴史上の作曲家名をつけてのちの作曲家が発表したものがよく問題になる。かつては音楽愛好家の王侯貴族が作曲家にお金を払って作曲させて自作として発表することもあった。そうした作品であっても、良いものであれば、真の作曲者名で「○○の様式による」とか「○○風の」というような表現にして、演奏され愛され続けていく。しかし、今回の件のように、全聾の障害を乗り越えて作曲しているという架空の美談に乗っかって演奏されCDが販売されていたとなると、いくら良い曲であっても悪質度が高い詐欺に等しく価値を大きく損ねてしまう。

 書籍の世界でもゴーストライターが存在する。芸能人や政治家や新興宗教関係者が出す本はゴーストライターが書いていることが多いのではなかろうか。ありがたがって読むことはない。

 いずれにせよ、長い時間が偽物を消し去って本物を選んでくれることだろう。


 森田正馬先生の色紙に「破邪顕正」(仏教の言葉で、誤った見解を打ち破り、正しい見解を打ち出すこと)と書かれたものがある。明治大正時代には神経症は神経衰弱と呼ばれ、不治の病と恐れられていた。そして高額な料金のかかる種々のインチキ療法が行われていた。森田先生は当時有効だと考えられていた治療法をすべてやり尽くした上で、使えないものは捨て、使える部分は生かし、独自の工夫を行って「余の療法」すなわち森田療法を編み出したのである。破邪顕正はまさに森田先生の姿勢そのものだったように思う。

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