神経質礼賛 1028.堅気系
前話をアップした5月19日付読売新聞文化欄の新書論壇というコラムに関西大学東京センター長の竹内洋さんによる『インテリ・ヤンキー・堅気系』と題する記事があって、面白く読んだ。戦後の思想家・丸山眞男の日本社会批判や最近の斎藤環の著書『ヤンキー化する日本』(角川oneテーマ21)について論じている。同書では、戦後日本をインテリ系とヤンキー系の覇権闘争として描いていて、ヤンキー系とは熟慮を嫌いホンネと気合の反知性主義を特徴とする人々であり、舌禍事件を繰り返すA副総理・元首相やH大阪市長がそれにあたるのだそうだ。それに対して、竹内さんは、インテリ系とヤンキー系だけではなく、第三極「堅気系」が存在すると説く。ちょっと、竹内さんの話を引用しておく。
大衆のなかには、「堅気」つまり気が散らなく(気が堅い)地道で、分別ある人々が一定の厚みで存続している。政治家でいうと、地方出の苦学力行系の管義偉官房長官やドジョウ系を自認した野田佳彦前総理などはインテリ系でもヤンキー系でもない。堅気のモラルにそった「第三極」キャラである。堅気の衆をあだやおろそかにしてはならない。
とのことである。多分、神経質人間の多くは竹内さんの言う堅気系に属することになるのだろう。そして感情過多のヒステリー性格の持ち主はヤンキー系と親和性が高いだろうと思われる。ヤンキー系のように熟慮せず気分で行動していく人間が上に立ったら、運よく事が運んでいるうちはいいが、それは決して長続きせず、遅かれ早かれ破綻をきたす。面白がってそういう人間に投票して政治家にしてしまうと、後世まで禍根を残すことになるだろう。会社の社長がそうだと、ある日突然倒産して、社員は路頭に迷うことになりかねない。その点、堅気系は、周囲に気配りし、もし失敗した場合どうなるかを考え、慎重に行動していくから、大成功はなくても着実にポイントを重ねていくことができる。日本の民度が高いのも堅気系の心優しい善男善女が多いおかげではないかと思えてくる。
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コメント
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なかなか面白い記事で感心します。
思うに、インテリ系と堅気系はかぶりますね。
つまり、堅気系の一部がインテリ系。
そして、私見を述べれば、①インテリ系、②ヤンキー系、③堅気系のほかに、「付和雷同系」という存在があると思います。
付和雷同系は深く考えず誰かの意見に影響される人たち。
付和雷同系の一部がヤンキー系ではないでしょうか。
したがって、①堅気系、②付和雷同系の2種類に分類されるように思います。
四分休符さんの書いておられる通り、この国も昔は堅気系の心優しい善男善女が多かったのですが、最近はテレビなどのマスコミに大きく影響される付和雷同系が多いのではないかと思います。
郵政選挙の結果などはその例です。
温厚で深く考え思考する堅気系の人たちを増やしていく努力が必要です。
それが将来的にみんなの為になると信じているのですが。。。
投稿: スローライフ | 2014年5月26日 (月) 22時29分
スローライフ様
コメントいただきありがとうございます。
おっしゃる通り、インテリ系と堅気系と重なるような層もあるでしょうし、付和雷同系の増加も気になるところです。心優しい堅気系はまだまだ存在すると信じていますが、マスコミの情報操作に何の疑いもなく乗せられてしまう付和雷同系が増えてくると、気が付いたらまた無謀な戦争に突入していた、などということが起こりうるのではないかと心配です。
投稿: 四分休符 | 2014年5月27日 (火) 21時30分