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2014年7月18日 (金)

神経質礼賛 1046.家の傾きと不眠

 外来通院中の患者さんから、「不眠が続いているのは家が傾いているからですか」と突然言われ戸惑う。まず、家が傾いているとは、本当に傾いているということなのか、不幸が続いて家運が傾いているという比喩なのか。「どんなふうに傾いているのですか」と尋ねると、「冷蔵庫の裏側と壁の隙間が上と下では違うから家が傾いているのだと思う」とのことだった。冷蔵庫など家具の重みで部屋の中央が凹んでそのようになっているのだろうと推測できる。

 欠陥住宅や地盤の液状化による家の傾きを伝えるニュース、あるいはリフォーム番組では、ビー玉やパチンコ玉を床に置くと自然に転がっていく説得力の強い画面を見かける。床がひどく傾いている科学館の「びっくりハウス」の中では平衡感覚がおかしくなり、長くいると眩暈や吐気が起こることがある。建築関係の文献を見ると、床が0.5度傾くと、一部の人には眩暈や吐気が生じ出すという。さらに傾斜角が大きくなっていくと頭痛さらには不眠症状も起こりうるのだそうである。

 私が学生時代最初に住んだ終戦直後に建てられた早稲田鶴巻町の3畳一間のボロアパート(83)は、部屋の中央が一見して大きく窪んでいた。ビニールござが打ち付けてあったから、その下の床はどういう状態なのか知りようもなく、布団を敷いて寝ても背中が凹んでいる感じが強かった。木窓を閉めても上側が1cmほど空いていて風が強い時には雨が吹き込んだから全体的な傾きもあったろう。しかし、神経質な私でも、慣れてしまえば、こんなもんかな、高いアパートには住めないから仕方がないか、と諦めて生活していたし、眠ってもいた。

 最初に書いた患者さんの場合、実は不眠の原因は他にある。仕事をせずに家にいる息子さんはカウンセラーから発達障害と言われ、御主人もその可能性が高いと言われたという。毎日、息子や夫のことで悩んでいるが、何を言ってもどうにもならないし怒りの持って行き場もないので、不眠やいらいらの原因が家の傾きのせいだということになれば腑に落ちるということなのだろう。息子や夫のことはどうにもならない、と諦めて、自分の楽しみや生きがいを見つけて外に目を向けるようになれば、もう少し症状も軽くなると思われるが、現実にはなかなか難しそうである。

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コメント

発達障害ですが、A病院の精神神経科では発達障害の可能性があると言われ、セカンドオピニオンで行ったB病院の発達障害外来では全然問題ないと言われたという例もあると聞きます。
対人関係が苦手だと、何でもかんでも発達障害だと決めつけるのも問題があると思います。

yamabushi様

 コメントいただきありがとうございます。

 著名な大学教授たちによる同じ人の精神鑑定が何種類も出てしまうということはよくあります。典型的な特徴が出揃っている場合は同じ診断が下せますが、そうでない場合は診断が割れることは珍しくありません。ことに発達障害の診断は、診察室での観察だけでなく、過去の生活歴・生活状況を事細かく調べないと難しい面があります。しかも、ご家族からの情報もバイアス(偏り)が入っていることがありますから、なお難しいです。そして、最近では、製薬会社が成人のADHDに効果があるという薬を販売するために、医療界に多額の資金を投じてプロモーションしていることもあって、診断例が増えているという現状があります。
 ただ、私は発達障害をあまり広くとらえるのは反対です。スペクトラムですから、誰しも多かれ少なかれ発達障害的なところは持っています。病気だ、さあ治療しろ、薬だ、ではなくて、その人の特性であって、社会に適応しにくいのであれば、それに見合った教育や訓練をしていく、そしてその人の良さを引き出していくことが大切なのではないかと思います。

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