フォト
無料ブログはココログ

« 神経質礼賛 1058.神経質vsゴキブリ | トップページ | 神経質礼賛 1060.感じから出発する(2) »

2014年8月25日 (月)

神経質礼賛 1059.潔癖症

 昨日、TVで「開運!なんでも鑑定団」を見ていたら(注:私の住んでいる地方ではテレビ東京は映らず、週遅れで地方局から放送される)、ゲストに元テニス選手の沢松奈生子さんが出演していた。試合の賞金を手にしてロンドンで買った銀のティーポットを出品して25万円の評価を得たのだが、司会者の今田耕司さんが、ポットの下部の汚れを見つけて、「ピカピカにしたいですよ」と言って磨くジェスチャーをしていた。今田さんはキレイ好き、潔癖症で知られている。帰宅するとまず部屋の掃除。仲間の芸人さんたちが自宅に遊びに来るとトイレを汚されないか心配し、料理を作ってくれるというと台所が汚れないように作る横でゴミ捨てしているという。この程度の潔癖症ならば、別に日常生活に支障をきたすわけではないし、お笑いのネタにもなるわけで、役に立つ潔癖症かもしれない。

 私の妻も潔癖症傾向があって、洗面所で歯を磨くと周りが汚れるから、と禁止の御触れを出した。仕方なく、台所で体を縮めて歯磨きしている。その上、洗面所の床が汚れるのが嫌だと言って古いタオルを下に敷いている。しかし、このタオルがいくら汚れても平気なので、見かねて私が妻の留守中にこっそり洗濯しているのである。掃除機をかける時は時間をかけて力をこめてゴシゴシ床や畳をこする。その結果大変だから掃除機をかける回数は減る。だから、私が休日には簡単に短時間で全体に掃除機をかけている。あまり近視眼的に潔癖にこだわってしまうと、全体のバランスを欠く結果になる。

さらに不合理性が強いのが不潔恐怖(628話)である。両手にゴム手袋を常時つけて生活している外来患者さんがいる。初診時、長いこと入浴しておらず、髭や髪も伸び放題だった。トイレにも行けずオムツ着用。一見して統合失調症かと思ったが、話をしてみると幻覚や妄想などの病的体験はみられず、重症ではあるが神経症圏である。まさに「不潔恐怖は不潔になる」の言葉の通りである。普通の食事は食べられず、カロリーメイトとポカリスウェットの類しか摂取しない。栄養失調になっているのではないかと親が心配するので血液検査をしてみた。大塚製薬さんの宣伝をするわけではないが、よくしたもので、検査結果は正常であった。当然、日常生活は全面的に親に依存し、ひきこもり状態である。本人も不合理性はわかっていて何とかしたいのだが、どうしてもやめられないという。まず、どれか一つでも健康人と同じように行動するように、と指導する。次回受診時、一見変わっていなかったが、本人に言わせると、ヒゲと髪を少し切ることができたし、シャワーも浴びてきた、という。強迫性障害について書いたパンフレットを渡したら手袋をはずして受け取ってくれた。まだまだ先は長い。三歩進んで二歩下がるだろうけれども、つらいながら本人が行動してくれれば、いつかは良くなってくるだろう。

« 神経質礼賛 1058.神経質vsゴキブリ | トップページ | 神経質礼賛 1060.感じから出発する(2) »

コメント

四分休符さん、こんにちは。お仕事の内容をお聞きすると大変ですね。神経質的な性格が高じると病的なものになるということでしょうか。
私も20歳前後の頃から今で言うパニック障害になり、当時は死ぬ思いをしました(これはどの患者さんも同じですね)。そこで出会ったのが森田療法。その療法のお陰で、それ以降は随分軽快しました。
一度症状が出るとその症状を無くそうとして「囚われの罠」に陥ってしまう。そこに陥ってしまうとなかなか抜け出せない。絡まった糸を解そうとして余計に絡まるということになります。
本来神経質だったのですが、症状が出だして囚われてからは強迫観念がめばえ、今でも家の鍵の掛け忘れが気になります。日常生活には全く影響がないのでそのままにしていますが。
記事にある患者さん、薄皮をはがすように症状が軽快することを祈っています。もちろん、それには経験豊富な四分休符さんの的確・適切な治療とアドバイスが必要ですね。大変なお仕事だと思いますが、ご健闘を祈っています。

スローライフ様

 コメントいただきありがとうございます。

 神経症の症状はどれもつらいものです。パニック障害(不安神経症)だと、本当に死んでしまうのではないかというような強烈な不安感と動悸や息苦しさなどの身体症状に襲われます。その代わり、頓悟というように良くなる方がいたり、比較的薬が効きやすいという面はあります。それに対して強迫神経症は本当にしつこく治りにくいです。特に確認行為や手洗強迫などの強迫行為を伴っていると難治でして森田療法や行動療法も効果を示すまでにはかなり時間がかかりますし、大量のSSRIを服用しても症状が軽減しにくいケースもあります。おっしゃるように症状をなくそうとする「はからいごと」が一時的に不安を軽減してもかえって症状へのとらわれを深めて一層悪化させるという悪循環を招きます。治療は長丁場になります。強迫といっても適度な確認行為は私たちの生活を安全にする上で必要なんですが。何でも「良い加減」が大切ですね。
 

コメントを書く

(ウェブ上には掲載しません)

« 神経質礼賛 1058.神経質vsゴキブリ | トップページ | 神経質礼賛 1060.感じから出発する(2) »

最近のトラックバック

2018年11月
        1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30