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2014年9月26日 (金)

神経質礼賛 1069.恐怖の神髄

 秋分の日の朝、NHKのホリデーインタビューは「漫画家・図かずお恐怖の神髄を語る」という番組だった。現在78歳ながら、トレードマークの赤白ボーダーシャツと帽子姿で、溌剌とした感じである。「まことちゃん」などの作品で有名な楳図さんは小学生から青年期までを奈良県五條市で過ごした。まだ住んでいた家が残っていて、漫画を描き始めた頃のことを語っていた。初期の漫画には場面に合った効果音を五線紙に書き込んでいたが、編集者から商業的ではないと言われて止めたという。幼少期は奈良県曽爾(そに)村に住んでいたということで、インタビュー場面は緑美しい曽爾高原に移る。楳図さんは父親から地元に伝わる民話を数々聞かされ、その中に怖い話があった。美しい女性と結婚して子供もできて幸せな男性が、ある朝廊下が濡れていることに気付き、夜になって子供を背負って妻の後を追っていくと、池のところで妻は大蛇になり・・・という話であり、それが楳図さんのホラー漫画の原点なのだそうだ。楳図作品では、家族や友人など身近な人が突然変身して恐怖の対象になる。「恐怖なんかない方がいいじゃないですか」という質問に、楳図さんは恐怖の意義を語った。現実社会でも恐怖は起きる。それに対する心の準備やそれを予防するためにホラー作品は必要なのではないか、ということを言っておられた。確かにその通りである。平凡な生活を送っていても、大病にかかったり事故や災害や犯罪に巻き込まれたりしたらそれが一変して、突然に苦痛や恐怖のどん底に落とされてしまう可能性は誰にでもあるのだ。その恐怖を知ることで、そうならないように注意・防止したり、例えば保険などにより、万一そうなってもダメージを少なくするように準備したりすることは可能である。幸い、今の日本には戦争はないけれども、赤紙一枚で戦場に送られたり空爆に怯えたりする日が来ないとも限らない。そうなったら本当に怖い、絶対にそうなってほしくない、と多くの人が念じることが平和を守っていく上で大切なことなのではないかと思う。

 森田正馬先生は9歳頃にお寺の天井に描かれていた極彩色の地獄絵を見て強い恐怖を感じ、死を恐れて夜も眠れなくなったという。また、江戸時代の名僧・白隠禅師も11歳の時に地獄の様子を聞かされて強い恐怖に襲われるようになり、その恐怖から解放されたい一念から出家したという。敏感な神経質人間は人一倍死を恐れる。そして、それは時には多彩な「症状」として現われてくることがある。しかし、「死の恐怖」と表裏一体の「生の欲望」が強いということでもあるのだ。死の恐怖から逃れようとジタバタしてもなくならないばかりかますます怖くなるばかりである。恐怖は怖いままにして、生の欲望、つまり、よりよく生きたいという願望に沿って行動していけば、恐怖はあってなきがごとき状態となってくるのである。

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コメント

記事を読ませて頂き、王や張本といった大打者が、帰宅後も素振りをしないではいられなかった話を思い出しました。
負ける、抜かれる・・恐怖心を誤魔化さなかったからの大成でしたhappy01

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 その通りですね。ホームラン数や打率で頂点に立っていつも追われる立場はつらかったと思います。打てなくなったらバッターにとっては「死」です。人間だからスランプに陥ることはありますが、そんな時には求道者のようにひたすら素振りを繰り返して基本に立ち戻っていた王さんや張本さんの生き方は、「死の恐怖」はそのままに「生の欲望」に沿って一歩一歩前進しようとすることでもあり、私たち神経質人間にとってお手本になるかと思います。

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