神経質礼賛 1099.アサッテ君
毎日新聞朝刊の連載漫画「アサッテ君」が今月いっぱいで終了となることが12月19日付の同新聞に発表された。主人公のアサッテ君(朝手春男)は小心者の万年平社員であまり仕事をしている様子もなく妻の秋子には全く頭が上がらない。作者の東海林さだお(77)さんは1974年以来40年以上にわたりこの漫画を描き続けたことになる。今年の8月に加藤芳郎さんの「まっぴら君」(毎日新聞夕刊連載)を超えて一般紙での連載回数記録トップとなった。同じく万年平社員のサラリーマンを主人公とした連載漫画では朝日新聞に掲載されたサトウサンペイさんの「フジ三太郎」があり、これが約28年。あの「サザエさん」の新聞連載が地方紙時代を含めても同じく28年ほどであり、いずれも時々休載があったから、休載なく40年も描き続けた東海林さんのすごさがよくわかる。毎日描かなければならないというのは大変なプレッシャーだろうと思う。毎日描いていればネタがなくて苦しい時もあったはずである。長くなってくると作者も読者も飽きてきやすい。東海林さんは長く続いたコツを「その日描いた漫画はすぐ忘れること」と述べておられる。
これは神経質人間にとって参考になる言葉かと思う。私たち神経質人間は過去を繰り返し反省して未来の失敗を予防するのはとてもよいのだが、それが過度になってしまうきらいがある。ああすればよかった、こうすればよかった、とクヨクヨ後悔し、さらには未来の取越苦労をしがちである。しかし、過去を振り返るな、先の心配をするな、といってもそれは無理であるし、また、そうする必要もない。森田正馬先生が言われたように、現在になりきって行動していくうちに結果として「前に謀(はか)らず、後に慮(おもんぱか)らず」(達磨の言葉)ということになってくるのである。
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