神経質礼賛 1114.ご当地アクセント
遠方から転居されてきて転医となった方と話していると、独特のアクセントに気付くことがある。もっとも、私が住んでいる所も地方独自のアクセントがある。なにぶん、東西に広い県なので、同じ県内でも東部・中部・西部で独特の方言があったり特有のアクセントがあったりするのだ。方言はともかくアクセントは文字に表記されないのでその土地独自のアクセントなのかどうかわかりにくい。数日前にローカル放送局の番組で、アクセントの違いを扱っていた。「服」と「靴」、いずれも静岡人は先頭にアクセントをつけて話す。実は私もそうである。ところが、共通語では後ろにアクセントが来るのだという。番組では街角の人たちに発音してもらって、どこで変化するかを調べていた。それによると、「服」と「靴」に関しては富士川を境に東は共通語アクセント、西は静岡アクセントなのだそうである。
私は小学校の時に父の転勤のため横浜に転校したが、ちょうど運悪く国語で方言の話がテーマの時で、先生から「静岡の方言を言ってみろ」と言われて非常に恥ずかしい思いをしたものである。そんなことも私が対人恐怖になるきっかけの一つだったのかもしれない。しかし今では方言や地方アクセントは温かみがあっていいものだと思う。だから、前述の番組を見てもアクセントを変えるつもりはない。
研修医の頃、大原健士郎教授から森田正馬先生のレコードをコピーしたカセットテープをいただいた。森田先生は昭和9年に「神経質講義」をレコードに録音して販売した。軍国主義一色の時代に「生の欲望・死の恐怖」を主張するには相当勇気のいることだったはずである。森田先生は「戦争はくだらないことだと思うが、時の流れを待つのだ」と弟子に語ったそうである。このレコードは当時の価格で1枚1円60銭。半年間に売れたのは170枚だったという。興味のある方は「メンタルヘルス岡本記念財団」ホームページの「市民の皆様」ボタンをクリックして「DVD・ビデオ・テープ」をクリックすると「DVD・ビデオ・テープ ライブラリー」のページが表示され、そのページの一番下のニコニコ顔の森田正馬先生の顔写真をクリックすると「神経質講義」を聞くことができる。全部で約6分間である。森田先生も独特の高知アクセントやイントネーションがあって力強さを感じる。勤務先の三島森田病院の森田貞子理事長(正馬先生の甥で養子となった森田秀俊先生の奥様)もやはり高知の出身なので、お話しすると同じアクセントだなあと思う時がある。それもやはりいいものである。
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