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2015年2月 1日 (日)

神経質礼賛 1111.ありのままで

 1月27日毎日新聞地方版のコラム「香山リカのココロの万華鏡」に「あるがままを軸に、心の分析よりも生活や作業を大切にする治療法」として森田療法のことが紹介されていた。昨年のディズニーアニメ「アナと雪の女王」のテーマソングの日本語版「ありのままで」(原題はLet It Go)にちなんだ内容になっている。アニメの主題歌は人目を気にし過ぎずに今の自分に自信を持とうというメッセージが込められているが、森田療法の「あるがまま」はもう一歩進んで自分を苦しめる不安や恐怖やマイナスの感情も受け入れようと言っている、と香山さんは説明しておられる。森田療法では、負の気持ちもそのまま受け入れ、「それに正面から取り組んずに、まず今やらなければならないことをやろう」と呼びかける、と行動本位を指導することも書いておられる。短いコラムの中で実に的確に森田療法を説明されている。森田療法の関係者も講演会や書籍だけでなく、おりにふれてこのように一般の方に向けてメッセージを出していく必要があるだろう。

 一般の方への森田療法の説明では、ともすると「あるがまま」という言葉が強調され過ぎるきらいがあるように思う。「あるがまま」は印象に残りやすいが誤解もされやすいし、言葉だけで終わってしまうおそれもある。以前にも書いた通り、森田療法は宗教ではないから「あるがまま」をお題目のように唱えていても御利益はない。大切なのは、気分はいじらずにそのままにして、現実に直面して、やらなくてはならないことをやっていく、行動重視の姿勢である。大原健士郎先生は森田先生がよく使った「事実唯真」や「日々是好日」を説明する際にも、行動することに力点を置かれていた。森田療法が入院治療から外来治療が中心になってきたのは時代の趨勢でやむを得ない。入院治療と違って、外来治療では、日常生活の様子を見ることができない。単なる「あるがまま」の言葉だけで終わらず、実際の行動に焦点を当ててアドバイスしていくことが求められている。

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コメント

四分先生、寒いですがお変わりないですか。
腹の立つこと、ゲンナリすることの多い毎日ですが
神経質に火をくべて安全運行を心がけております。
今回の記事の「現実に直面して、やらなければならないことをやっていく」を、
おそらく実践した人の著作だと思われますので、
お知らせいたします。
本日、5日の読売夕刊の記事でございますhappy01

こうしてパソコンから四分先生にご報告できますのも、
有り難く一日過ごせた証でございます(足ることを知るhappy01

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 自宅は毎日新聞をとっています。勤務先が読売新聞なので、今朝出勤してまず、昨日の読売新聞夕刊を読みました。第4面の「無常観 ありのままに」という見出しの記事ですね。電子音楽とロックの音楽を作っている「ブンブンサテライツ」という二人組のボーカリストの話でした。脳腫瘍のため3回の手術を受けるも昨年再発して余命2年の宣告をされ、それでも新作を発表したということですね。そんなギリギリの状況だからこそ集中して良い作品を作り出せているのかもしれません。
 そのすぐ左側の記事も感銘させてくれました。全盲の13歳の少女がミニアルバムを出したという話です。
 どちらも「生の欲望」に沿って「生き尽くす」という森田先生の教えと合致するもので、大いにあやかりたいと思いました。
 良い話を教えていただきありがとうございます。

四分先生、念の為に申し上げますが、
上のコメントの色の変わっている下線付きの "たらふく" をクリックして頂きますと、当該読売の記事が見えるのでございますhappy01

たらふく様

 リンクに気が付かず、大変失礼いたしました。書評欄でしたか。
 神経質の症状に悩み、御自分で森田療法を学んで克服された方の話ですね。そして神経質を生かしておられるようですね。こういった体験談を発表することは大変意義があることです。自分が治ればいい、というのではなく、同じ悩みを持った人の役に立とうという、森田先生が言われた「大乗」の精神が大切です。

四分休符先生

一部ですがブログ拝読させていただきました。東京を離れる前に鈴木知準先生にご挨拶をと思い、ネットを漁っておりましたが、やはりお亡くなりになられてたんですね。大変残念です。でも四分休符先生のような、森田療法の精神を受け継いだ先生がいてくださって安心しました。

私も、16年前、18歳のときに知準先生にお世話になりました。重度の対人恐怖で、最初は会話と会話の間の沈黙に違和感を感じ、そこから逃げようとしてどツボにはまりました。それを機に視線恐怖、醜形恐怖など派生し、どうにもならない状態でした。

大学受験に失敗し、浪人生活を始めた矢先、「ノイローゼの積極的解決」を図書館で見つけ、これだ!と思って、単身上京(両親に感謝です)し、40日間の入院をしました。

もうすでにご高齢だった先生は、初めての面談で何度も同じ話をされ、ほんとに大丈夫かなぁと正直疑いの念を隠せませんでしたが、はっきり、「君は治る」とおっしゃってくれたのが心に刺さり、入院を決意したしだいです。(ほんとは「直る」なんですよね。あのときは「治る」と受け取りました。)

入院して、臥じょくがあけてから、死に物狂いで作業をしました。「君は短いから」と言われたのが印象的だったからです。そのときは期間の意味がよく分かっていませんでしたが。でも、あの場所で、「不安とともに生きること」、「今に生きる(今を生きるではない)」、「あるがまま」を体が覚える感覚をもらえたのではないかと思っています。

退院してから、本当の意味で「直った」と感じるようになるまで、結局10年くらいはかかりましたが、あの場所がなかったら、私は未だに苦しみ続けていたと思います。知準先生には感謝してもしきれません。

申し訳ないのですが、2点質問があります。

1点目は私の入院中の体験なのですが、臥じょく明けの1週間後に、無我夢中で本を読んでいて、ふと顔を上げて部屋を見渡したとき、「世界と自分がくっついた」ような感覚があり、その後涙が溢れてきたのですが、四分休符先生もそのような経験がありましたか?または、そのような話を聞いたことがありますか?(確か関連する書籍に同様なくだりがあったと記憶してるのですが…)

2点目は、この度転職することになり、東京を離れることになったのですが、一度、知準先生の墓前にご挨拶をしたいと考えているのですが、不可能なのでしょうか?

長文、駄文失礼いたしました。お時間あれば、ご返信いただければと思います。

ゆうやけ様

 コメントいただきありがとうございます。

 二番目の御質問の鈴木知準先生の御墓所の件につきまして、知準先生にお世話になった方々を中心とした正知会(しょうちかい)の会長さんにメールで伺ってみました。知準先生の御遺族の方に確認していただいたところ、御墓所は非公開とのことでしたので、ご了承下さい。思うに、知準先生が入院治療された方は5000人余りにのぼりますから、墓参される方が多いと混乱をきたすことが想定されるのではないでしょうか。
 最初の御質問にあった絶対臥褥中あるいは臥褥後の心境の大きな変化は時々観察されることです。絶対臥褥が著効した方は、一気に「とらわれ」の悪循環から解放されて「世界観が変わった」「生まれ変わったようだ」というようなことを述べます。知準先生ご自身も森田先生の治療により心機一転されたことと思われます。なお、私自身はブログや拙著に書きましたように、治療としての森田療法を受けてはいません。小学生の頃から対人恐怖・強迫観念に悩み続けましたが、残念ながら森田療法を知る機会がなく、一人手探り状態で苦しいながら仕方なしに行動しているうちに森田先生が言われた「小学程度」にどうにか達したのではないかと思います。(世の中の現実で、誰もが人並みにそうやっているところの「苦しいままに働く」、それが小学程度、次に「苦しい事はいやである」そのままの事実を認識するのが中学程度、さらに「いやとか好きとかの名目を超越した」のが大学程度である。:森田正馬全集第5巻p.653) 森田療法を本当の意味で知ったのは医師になって大原健士郎教授に師事してからです。大原先生のもとで研修医としての修行も一種の森田療法だったのだなあ、と今にして思います。

四分休符先生

ご返信ありがとうございます。
わざわざメールでお尋ねになっていただいたんですね。誠にありがとうございます。やはり墓参は叶わないのですね。残念ではありますが、致し方ないですね。

四分休符先生もご苦労をなさったのですね。私も高校1年のときにとらわれの状態になってから、3年間、苦しみながらも「小学程度」を実践してきました。先生のご苦労は少しはお察しできるかと思います。

この度は誠にありがとうございました。先生のご活躍をお祈りしています。同じ症状で苦しむ多くの人の希望の光になってください!

ゆうやけ様

 近々転職されて東京を離れられるとのこと。期待と不安が入り混じった御心境かと思います。苦しい時には、「背水の陣」の覚悟で鈴木知準診療所の門を叩いて「死にもの狂い」で作業に没頭された時のことを思い出して行動されれば必ずや道は開けることと思います。森田療法のすばらしいところは、時間が経ってから、さらに理解が深まり、効果が倍増するところです。御健闘をお祈りします。

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