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2015年2月16日 (月)

神経質礼賛 1116.森田療法にハマる人

 生活の発見会の協力医ということで毎月機関誌を送っていただいている。その「生活の発見」誌2月号の巻頭に新潟集談会の代表幹事をされている方の「発見会にハマる人」という記事があって興味深く読ませていただいた。「森田療法や発見会にハマる人は、だいたいにおいて真面目で不器用、そして人生を真剣に考えてより良く生きたいと本気で望み、学ぼうとする意思のある、向上心の強い人ではないでしょうか。また心の底には優しさがあり、人が好きで、出来れば人の役に立ちたいという使命感を持っているのではないかと思います」と書かれている。


 
 まさにその通りであり、それが森田神経質の特徴なのである。一般に言う神経質は性格傾向のスペクトラムであって、誰にも多かれ少なかれ神経質な部分はある。森田先生はその中でも神経質傾向の強い人のうち、人格が未熟で子供っぽい性格の人をヒステリー、大人の人格を持った人を(森田)神経質としている。「余の療法」つまり森田療法は後者を対象としている。だから同じような症状であっても、依存心が強く人格の未熟さが目立つ人では、森田療法の「症状は不問」はガマンできない。依存心即安心であって、手っ取り早く薬でも慰めでも何でもいいから気分を楽にしてもらいたがるのである。一方、(森田)神経質は自分が不甲斐ないと思い、なるべく薬に頼らずに何とか自分の力で治そうと努力する。そうした人は森田療法の本を読むと、まさに自分のことが書いてあると感じて森田療法がしっくりくるし、生活の発見会に入るとピタリとハマるのである。


 
 森田療法を受ける人も発見会に入会する人も、最初は何とか苦しい症状を治せないかと思ってその門を叩く。ところが森田療法では、その希望をすぐにかなえてくれるわけではない。苦しいまま作業に取り組んでいくように指導される。こんなことで本当に治るのだろうか、と疑心暗鬼のまま作業に取り組んでいくと、いつしか自分の方にばかり向いていた注意が自然と外に向くようになってくる。ふと気が付くと「症状」はまだあるにせよ、それにとらわれていない自分がそこにある。そんな治り方をするのである。自分だけが苦しいという差別観で見ていたのが、誰もが不安や緊張を抱えていてそれからは逃れられないのだ、という平等観に変わっている。さらには後輩の世話をするようになり、「明けくれに己が苦悩をいたはりて子等も人をも思ふひまなし」という小我の偏執から脱却して、「人の性(しょう)を尽くす」周囲の人々がその力を発揮できるように手助けして、人から頼られる存在になっているのである。こうなると神経質を生かして自己の存在意義を発揮できるようになっているのだ。

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コメント

先生、こんばんは。

私は自分のことは分からないのですが、不思議と気になった方々にメッセージを送りました。頑張れ!は私も苦手な言葉なので、いつも一緒に居ますと言います。一人では無いと思うと嬉しかったと言われました。
おせっかいオバチャンのヒロマンマを必要としてくれる友人がいると私が元気になれます。私こそ、一人では無いのは嬉しいからです。


心も体も健康になったら不自由な方々に仕える仕事をしたいと思っています。直接で無くても施設の清掃など裏方が合っているのかと思います。

ヒステリーと神経質のお話はたいへん興味深いです。
"人格が未熟"というのは一生の問題ですね
四分先生には "ヒステリー" に悩んで来院される患者さんもいらっしゃるのでしょうか?
(治る or 改善するのでしょうか

ヒロマンマ様

 コメントいただきありがとうございます。

 いつも一緒に居る、というメッセージを発信することも、他の人の力になれますし、それが自分にも返ってくると思います。現状でも、御家族だけでなく、多くの人たちを支えておられますよ。人の役に立ちたい、というお気持ち、とてもすばらしいことです。

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 自分で何とかしようという人が少なくなり、未熟で依存的な人や自己愛が強い人が増加してきている印象はあります。頻繁に電話をかけてくるような方や、「医者なら治せるだろ、何とかしろよ」というような態度の方には往生します。パーソナリティの問題はすぐにはどうにもなりません。長い年月をかけて、その人自身が自分の力で少しずつ葛藤を乗り越えて成長していくのを待つことになります。

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