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2015年4月 6日 (月)

神経質礼賛 1133.上を向いたらきりがない 下を向いたらあとがない

 今年になってBS12チャンネルTwellVで土曜日の午後、「泣いてたまるか」というドラマを放送している。「男はつらいよ」シリーズの元になった渥美清主演の一話完結人情ドラマのリマスター版である。寅さんと同様、人情家で突っ走ってしまう、いろいろな職業いろいろな立場の主人公を、渥美さんが演じている。私が小学生の頃、父がよく見ていたものだ。この主題歌が実にいい。作詞者は吉池まもる(関沢新一のペンネーム)となっている。関沢さんは映画監督・写真家・漫画家など多彩な仕事をした人で、美空ひばりの「柔(やわら)」・村田英雄の「王将」・舟木一夫の「学園広場」など往年の大ヒット曲の作詞でも知られている。

 歌詞は1番から3番まであって、そのうちのどれかが使われている。どうにもならないきびしい状況でも、泣いてたまるか、がんばろう、と自分を奮い立たせるような歌詞である。私は3番の歌詞が好きだ。「上を向いたらきりがない 下を向いたらあとがない さじを投げるはまだまだ早い」。何だか私の高校時代の数学の試験点数みたいである。好きな電子回路工作と楽器演奏に熱中していたので、数学は完全に落ちこぼれ。成績はビリから数えて何番目という情けない有様だった。皆が入試問題を解いている時期に、焦りを感じながらも基本的な問題集を最初から徹底的にやっていくうちに、何とかわかるようになっていった記憶がある。

 神経質人間は劣等感を抱きやすい。実生活では「下を向いてもきりがない」が真実なのであるが、「下を向いたらあとがない」と確信し、自分はダメだ、サイテーだ、と思い込みやすい。そこで、投げやりになってしまっては、本当にどん底へと向かってしまうのであるが、発展向上欲が強い神経質はそれでは終わらない。劣等感をエネルギー源として、「これではまだまだだ」と努力を重ねていけば、大きな力を発揮できるのである。

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コメント

森田先生のお言葉で
「母はなにかにつけ、上を見るな下を見よ、と自分を戒めた。」
というのを思い出しました。
逃げないで足下を固めよ、空想でごまかすな、足るを知れ・・、に通じる言葉だと感じます。
森田先生の教えは現実的で、患者さんに庭掃除の話をされた時、
「ごみを残すのは論外だが、なんでもかんでも片付けてしまえば良いのではない。
落ちた花は見る者を楽しませる」
という趣旨のことをおっしゃっています。
いま庭に落ちている椿の花の美しさを見ますと、
目の前の命じられた用事だけをサッサと終わらせたい患者さんの主観面をとっくにお見通しで、
根本に遡って、何のために掃除をするのか、という客観的な意味に気づかせる森田先生の教えは、
味わい深く、鋭く、尊いと思われるのであります

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 そうですね。現実を見て行動せよ、ということのように思えます。
 天下を取った神経質人間の徳川家康が吏僚型の若い家臣たちに言ったと伝えられる言葉「上を見るな、身の程を知れ」という処世訓にも通じるかもしれませんね。

 森田先生は次のようにも言っておられます。
 「自分は頭が悪い、読書が少しもできぬ」と苦しむ人が、学校成績は一番になったりする事もあるように、およそ神経質は、何事につけても、いわゆる劣等感で、自分の悪い方面ばかりを考えるものであるから、事実においては、神経質は常に善良優秀なる人であるべきである。これがすなわち我々が、神経質に生まれたという事を感謝すべき事柄であります。これに反して、ヒステリーとか・意志薄弱性素質とかの人は、常に自分のよい面ばかりを考えて、独り得意になっているから、丁度神経質と反対になります。(森田正馬全集第5巻 p.432-433)

過去記事にまたお邪魔します。
人と比べて落ち込むのはしょっちゅうで、具体的な出来事を超えて、人として最低レヴェルだと降参しています
 それでも振り返ると高校時代に、似たようにダメな某君がいたなと慰めることもありました。
ところが、最近フェイスブックで同窓の連中の消息が頻繁に入ってくるようになり、その某君とも "友達"になってみると、なんと彼は、誰でも知ってる有名大の学長になってたんです
 大変驚きましたが、私と同じような壁に至るところでぶつかったであろう彼が、いかにそれを乗り越えて来たかを思うと、感慨深く、賞賛したくなりました。
 彼の書いた禅の本をいま読んでいます  

たらふく様

 コメントいただきありがとうございます。

 その某君も実は神経質なのかもしれませんね。というより禅の本を書かれる位でしたら間違いなく神経質でしょう。
 本当にダメな人は「自分はダメ人間」だとは思わないものです。自分は最低だと思いながらも発展向上欲が強いので絶えず努力をしているうちに優秀な人になっていきます。神経質は宝石の原石のようなものです。

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