神経質礼賛 1134.今日のうちこそ命なりけれ
先月、市役所の市民ギャラリーで今川氏展があって見てきた。今川氏親、今川義元、太原雪斎の木像などが展示され、今川氏の歴史がわかりやすくパネルで示されていた。今川義元は、永禄3年(1560年)5月に大軍を率いて尾張に攻め込むも、桶狭間の戦いで織田信長の奇襲に敗れて討死している。公家の真似をしてお歯黒をしていたとか、肥満のため馬に乗れなかったなどと言われて、ダメな戦国大名の代表のように思われがちだが、実際のところは有能な大名だった。少年時代には京の禅寺で修行した経験を持つ文化人であるとともに、統治能力にも優れ、父・氏親の分国法「今川仮名目録」をさらに整備し、検地を行い、産業を育成し、外交面でも甲斐の武田氏・相模の北条氏と同盟を結び、駿河・遠江の二国と松平家の三河を上手に経営していた。のちの徳川家康があるのも、義元のもとで太原雪斎の教育を受けたおかげと言えるだろう。私たちが知る歴史は勝者によって残されたものであり、敗者は貶められがちである。織田信長の天才的な軍略や度胸に軍配が上がったとはいえ、もし桶狭間の戦いでの急な豪雨がなければ結果は全く変わっていたかもしれない。
大塚製薬が病院に配布している「大塚薬報」今月号に今川義元の記事があった。それを読むと、馬に乗らず輿に乗って尾張に侵攻したのは、室町幕府が認めた大名しか使用できない塗輿で高い地位にあることを尾張の人々にアピールするためだったように思えてくる。お歯黒も同様かもしれない。
その記事には「昨日なし 翌またしらぬ人はただ 今日のうちこそ命なりけれ」という義元の言葉が書かれている。昨日は過去のことだし明日のことはわからない。今日一日だけが全てだと思って生きるべきだ、ということである。誰にも役立つ言葉だと思われる。特に神経質人間は過去をクヨクヨ後悔し、「ああしておけばよかった」と考え、「こうなったらどうしよう」と先の心配をし過ぎるきらいがある。反省と心配は必要ではあるけれども、とりあえずは今日一日がんばってみる。それを積み重ねていけば結果はついてくる。
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コメント
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「昨日なし 翌またしらぬ人はただ 今日のうちこそ命なりけれ」
ラテン系の人が何も考えてないように遊びはしゃぐのは、根底に厳しい現実のリアリズムがあって、だからこそ今を謳歌するのです、と聞きました。
神経質の自己都合思い込みに閉じこもっていると、世間様との挨拶でも無礼します。
先日、年来の意中の美人がむこうから寄ってきて声をかけてくれているのに、変に意識して目も見ずにゴニョゴニョといってそっぽ向いてしまいました。アホ過ぎて大後悔です
献血しましたら糖尿に関係ある数値で異常がひとつ出ました。四分先生は甘辛両党いける口ですが心配ないですか
投稿: たらふく | 2015年4月11日 (土) 01時07分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
仕事であれ遊びであれ、今日一日を精一杯生きる、生き尽くす、というのは森田の真骨頂かと思います。
意中の人に声をかけられてしどろもどろ、というのは私も若い頃ありました(笑)。「純な心」の持ち主である証拠でしょう。
糖尿系は大丈夫なようです。逆に体重が減っていくのが心配のタネです。近頃、「四分休符」とパソコンで打とうとすると、なぜか必ず「死分休符」と表示されてしまうのでドッキリします(苦笑)。
投稿: 四分休符 | 2015年4月11日 (土) 21時12分