神経質礼賛 1142.芍薬(シャクヤク)
例によって旧実家に行くと、畑の大きな花が目に付いた。茎はとても細い。後で母に聞いたら、昔、伯母(父の姉)が植えた芍薬だという。この伯母は私が小学校1年の時に亡くなっているから、少なくとも半世紀以上も咲き続けていることになる。伯母の葬式の際、私は同じ歳の従兄弟と悪ふざけをして、祖父に厳しく叱られた記憶がある。
美女をあらわす言葉として「立てば芍薬、座れば牡丹、歩く姿は百合の花」というものがある。確かに芍薬は大輪の花の割に茎がスマートですらっとして美しい。芍薬の根には、消炎・鎮痛・止血・抗痙攣作用があって、漢方薬の原料として使われる。女性向けによく処方され、女性の妙薬とも呼ばれる当帰芍薬散(ツムラ23)が有名ながら、風邪の時に服用する葛根湯(ツムラ1)や、がっちりした体型の人の便秘などに用いられる大柴胡湯(ツムラ8)にも含まれている。更年期障害に用いられる加味逍遥散(ツムラ24)にもやはり芍薬が含まれている。また、芍薬と甘草が1:1で含まれている芍薬甘草湯(ツムラ68)は急激に起こる筋肉の痙攣を伴う疼痛に効果があり、「こむら返り」に有効である。
花が美しいだけでなく有用なのはとても結構なことである。
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小1でお祖父さんに厳しく叱られた記憶とお書きですが、驚くようなことを脳は記憶していますね。
わたくしの場合も、折に触れて、とんでもないのが湧き出てきますが、嬉しいのはまずなく、苦いのばかりです
猫などは母親を忘れても、防衛本能で危険や不快な体験の記憶は残るそうです。
シャクヤクについて教えて頂きましたが、四分先生は "どくだみ"はいかがですか。ものすごい生命力で庭を占有していますが、薬草のようにも言われています
投稿: たらふく | 2015年5月 7日 (木) 23時45分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
そうですね。子供の頃に叱られたことは、ふっと思い出すことがあります。だからこそ、よくないことはキッチリ叱るということは教育的な意味で必要だと思います。最近の教育には「叱る」が欠落しているように思えます。
ドクダミは旧実家にも一部で、はびこっています。ちょっとジメジメした日陰に、あのハート型の葉が蔓延。すごい生命力です。その気になれば「どくだみ茶」が大量生産できるかもしれません(笑)。独特の臭みに抗菌作用があるのだそうです。また、利尿作用もある、ということは血圧降下も期待できるようです。
投稿: 四分休符 | 2015年5月 8日 (金) 18時55分