神経質礼賛 1143.結婚はコスパが悪い?
こどもの日前後の新聞各紙には少子化が進んでいる話題に伴って、若い人たちが結婚したがらなくなっている傾向について取り上げていた。その背景にはいろいろなことが考えられている。コンビニや単身者向けの商品やサービスが増えて結婚せずに一人暮らしでも不便がないこと。価値観が多様化し、自由さや気楽さを失いたくないと考える人が増えていること。個人のプライバシーを尊重する社会になり、昔のように上司や知人の紹介で結婚するようなことが減っていること(現代では「結婚する気はあるか」などと部下に尋ねたらセクハラになってしまう)などが指摘されている。
「結婚はコスパ(コストパフォーマンス:費用対効果)が悪くてメリットがない」という若い人もいるようだ。特に子供ができると養育費や教育費がかかる。給与が年齢の上昇に従って右肩上がりになっていく時代ではない。年金だってこのままでは破綻するのは目に見えていて、若い人たちにとっては「ぼったくり詐欺」同然のシステムである。自分たちが中高年になった時の経済的不安があるのでは結婚に踏み切れないのもわからないではない。特に神経質な人は慎重にならざるをえないだろう。
以前293話で紹介したように、ダーウィンは結婚するメリットとデメリットを詳細に検討した上で母方(ウエッジウッド家)従妹との結婚に踏み切っている。進化論で有名なダーウィンは肥満型なので、性格は循環気質だとする精神科の書籍も見かけるが、本当は神経質だったと私は考えている。第一、若い頃から太っていたわけではない。手紙の字はものすごく細かいし、繊細な人なので外科手術をするような医師になることを途中であきらめている。「あがり症」のため学会発表も大の苦手だったという。
それにしても、結婚する段階で将来が全て見通せるわけではない。経済的などの面に将来の不安はあっても、一緒に暮らしたい、できれば子供も欲しい、という「純な心」が優って結婚に踏み切っていただきたいと思う。
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