神経質礼賛 1158.今日の一針、明日の十針(とはり)
日めくりカレンダーをめくったら、今日の一針、明日の十針、という諺が出てきた。ちょっとギクッとさせる言葉である。今日のうちに綻びを直しておけば一針で済むものを、明日に延ばしてしまうとほころびが広がって直すのに十針かかる、という意味のようだ。虫歯治療などはこれにあたるだろう。歯医者さんに行くのは面倒だなあ、嫌だなあ、と先送りしていると、齲蝕が進行してそのうち歯茎まで腫れてどうにもならなくなって行ったのでは治療も大事になってしまう。早めに行くに越したことはない。
私たち神経質人間は、何かやらねばならないことができると、その手間を計算して、面倒だなあ、嫌だなあ、と思い、ズルズル先延ばししてしまいがちである。神経質は「重い鉄の車」と森田正馬先生が言われたように(白揚社:森田正馬全集 第7巻p.391)、ああでもない、こうでもないと考えて、なかなか動き出さない。機を逸してしまうと、この諺のように大変なことになってしまう場合もあるし、第一、嫌だなあと思っている時間が長くなって損である。それに、他にもやらなければならないことは次々と発生して仕事が溜まって、首が回らなくなってしまう。解決法は、まず、ちょっとでも良いから手を出すことである。例えば、綻び直しだったら、とにかく糸と針を用意することだ。虫歯の治療だったら、とにかく歯科医院に電話をして早めに予約を取ることだ。最初の一歩を踏み出しさえすれば、後はスムーズに動き出すのである。
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