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2015年6月19日 (金)

神経質礼賛 1157.抗不安薬・睡眠薬の急性薬物中毒

 先週の新聞記事に、医療経済研究機構の調査結果を紹介したものがあって、抗不安薬や睡眠薬を過剰服用して意識障害などの急性薬物中毒を起こした患者の約4割が規定量を超える処方をされていた、ということだった。また、処方した医師の9割が精神科医だったという。

 以前から抗不安薬や睡眠薬が安易に処方されて、薬物依存をきたしたり中止して離脱症状をきたしたりするなどの問題を引き起こすことは指摘されてきた。現在では、抗不安薬や睡眠薬は原則それぞれ2剤しか処方できないことになっている。しかし、精神科専門医が講習を受けて申請すれば3剤以上の処方が可能、という抜け道がある。私が勤務している病院の医師は全員精神科専門医ながら、あえてその講習は受けず、2剤までのルールを順守している。もっとも、精神科以外の内科などですでに睡眠薬を処方してもらっている人もいるので、「お薬手帳」などでチェックしないと重複処方を見落とすこともあるので注意が必要である。

 抗不安薬や睡眠薬は即効性のある対処法ではあるけれども、それだけに頼って解決しようとするのは無理である。特に神経症の不安や不眠の場合、それをなくそうとはからうことが症状悪化や症状固着を招く。たとえパニックになってもそれで命を落とすことはないのだし、一睡もできないと言いながらどこかで眠っているものである。生活を整えることに主眼を置き、「症状」は放っておく、という森田療法的な対処法が最も優れている。そうなれば急性薬物中毒の問題も解消できるし、厚労省が強く望んでいる医療費削減もできるはずである。安いジェネリック薬に切り替えて医療費削減を図るよりも、そもそも不要な薬は処方しないというのが本筋である。

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