神経質礼賛 1199.ハロウィン
数年前からこの時期になるとスーパーの菓子売場にはハロウィンの絵が描かれた商品が並ぶようになってきた。スーパーの店員さんたちもハロウィンのかわいい魔女が付いた髪飾りを一斉に付けていたりする。新聞の折り込みチラシもハロウィン関連のものが目立つ。街を歩いていて鮮やかな赤に色づいた箒木(コキア・帚木)を見かけるとつい魔女の箒を連想してしまう。ハロウィンは元々ケルト人由来の秋の収穫を祝い悪霊を退散させる一種の宗教行事だったものが、アメリカに渡って派手な仮装パーティーのようなものに変貌していったらしい。日本では東京ディズニーランドがハロウィンのイベントを始めてそれが広がり、菓子業界もそれに便乗してハロウィン商戦を繰り広げているとのことである。また、ハロウィンのコスプレも流行っている。私のような古い人間にはちょっと違和感がある。バレンタインデー、ホワイトデー、恵方巻、など、商業ベースに簡単に乗せられてしまうお人よしの国民性なのかなと思う。「みんな」がそうなら自分も、と付和雷同しやすい日本人の特性はよく指摘される。それを考えると、世界平和のために(本当はアメリカのために)日本も貢献しましょう、などというプロパガンダに乗せられて若者たちが戦場に駆り出されることにならなければよいが、と心配性の神経質人間としては気がかりになる。そう煽っている政治家たち自身が一兵士として戦場に行くことは絶対にないのだ。
勤務先の病院の行事も今年は秋祭りではなくてハロウィンになった。例年は職員と患者さんたちが中庭でともに神輿を担いだり踊ったりカラオケを歌ったりしていたのがすっかり様変わりである。パンプキンカフェという会議室を改装した模擬喫茶店に患者さんたちを順次迎えて、コーヒーなどの飲物とケーキを提供する。看護師さんや看護助手さんたちは黒マントに黒い帽子を被った魔法使い装束である。そのままの姿で病棟の仕事もしているから、病棟はブラックホスピタルと化していた。
夕方には中庭に大きくカボチャとオバケの形に並べたキャンドルに火を灯してキャンドルサービスが行われ、最後に花火が点火された。各病棟から患者さんたちが見て楽しんでいた。木枯らし一番の冷たい北風のためキャンドルが消えてしまい、担当職員が一生懸命になって次々と点灯し直して大変な様子だった。そろそろ冬の足音が近づいてきている。
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今の写真の箒木、綺麗です。少し低調な気分でしたが、ブログを開いた途端、まぶしい!と感じました。お陰で私の気持ちにも赤みが差したようです。
日本の若者たちが戦争に駆り出されるようなことになるのは、私も心配だし、嫌です。神経症の心配性に傾いているときは、徒に心配して疲弊しきってしまいますが、この事に関しては、心配性でよい、と私は思っています。
私も古いタイプの人間なので、ハロウィンにうきうきすることはないですが、歳時記には載っていないものの、ハロウィンの句はたくさん詠まれているので、何かつかんでおきたいな、と今回のお話を拝読して思いました。
投稿: nonboo | 2015年10月26日 (月) 23時52分
nonboo様
コメントいただきありがとうございます。
俳句の世界でもハロウィンの句が流行っていましたか。月末の本番、東京の繁華街には警察官が大量動員とのニュースがありました。何とも大変な状況ですね。
投稿: 四分休符 | 2015年10月27日 (火) 22時53分
先生、おひさしぶりです
ハロウィンは子供達にとって、とても楽しいイベントのようです。
知恵を凝らして衣装を作っている姿をみて(私は買ってあげないので😅)、自分で作る喜びと皆に披露して楽しむ姿。本当に楽しそうです。
忙しい毎日ですが、こんなもんかと思いながら日々生活しています
投稿: アッシュ | 2015年10月28日 (水) 07時29分
アッシュ様
コメントいただきありがとうございます。
お元気そうで何よりです。お仕事・子育て・家事と御多忙かつ充実した毎日を送られていることと思います。お子様の魔女っ子姿、かわいいでしょうね。お子様から元気をもらって明日もまたひと頑張りですね。
投稿: 四分休符 | 2015年10月28日 (水) 22時19分
「病棟はブラックホスピタル」。
さぞ壮観でしたでしょうね
関東の読売夕刊で「ジストニア」という記事が出ました。
木曜に4回連載の予定です。→どうぞ右下たらふくをクリック
これを見て「書痙」が思い出されました。
「脳を焼く」とはすごい表現です。
検索しましたら体験ブログをお書きの方がいらして、
なんと鈴木知準先生の入院患者さんでした。
下記がそのブログですが、「森田療法」を敬愛する内容ですので
四分先生にお伝えしたくなりました
「本態性振戦(書痙)ジストニアと定位脳手術体験記」
「森田療法 鈴木治準先生の続き」
http://ameblo.jp/furuefurue/entry-12084514689.html
投稿: たらふく | 2015年10月29日 (木) 22時27分
たらふく様
ジストニアの記事の貼り付け、ありがとうございました。
ジストニアは難治です。いろいろなタイプがあります。抗精神病薬を長期間服用している人の中には非常に目立つ姿勢異常が出る人がいて、頸部が大きく後屈したままになったり、体がねじれたままになってしまう人も見かけます。
記事のように定位手術までされるケースは少ないかと思います。かつて、山野井房一郎さんが書痙のため有名な医師の診察を受けたところ「書字神経を切れば治る」と言われてやめ、森田先生の治療を受け、書痙が治ったばかりか大成されていますね。
投稿: 四分休符 | 2015年10月30日 (金) 06時09分