神経質礼賛 1209.捲土重来
今週は遠州(静岡県西部地区)の人々を大いに喜ばせるニュースが二つあった。一つはサッカーJ2ジュビロ磐田のJ1自動昇格が決まったことである。かつては日本代表の中山選手や名波選手に代表されるスター選手たちを揃え、Jリーグ開始当初より、県内のライバル・清水エスパルスとともに優勝争いに常にからんでいた名門ジュビロだったが、有力選手たちが抜け、世代交代もうまくいかないまま成績が低迷し、ついに一昨年J2に降格してしまっていた。J1復帰を目指した昨シーズンはプレーオフで敗れて復帰は実現しなかった。今季の最終戦ではきわどいながら、最後は選手やファンたちの強い思いが勝ちにつながり、J1復帰を決めた。その一方で清水エスパルスはJ2に陥落した。実業団チームではないから、経済的な困難もある。何とか捲土重来、再びJ1に復帰してジュビロと競い合って欲しいと思う。
もう一つの話題は浜松市で行われた2015ゆるキャラグランプリで地元の「出世大名家康くん」が優勝したことである。一昨年の2013グランプリでは市役所が中心になって大量の組織票を重ねて優位に立ったものの逆転されて2位に甘んじ、家康くんはチョンマゲを切って出家してしまった。今年は組織的なネット投票に加えて、地の利を生かし、中学生などを大量動員して会場票を確保して逆転優勝を決めた。ネット上には「キャラクターがかわいくない」とか「大手広告代理店を利用するのはけしからん」というような批判も流れているけれども、関ヶ原の戦を情報収集力と調略によって勝ち抜いた本物の家康公と同様で、まあこれもありかな、とも思う。
誰でも負ける時はある。勝敗にこだわる神経質人間は負けるとひどくしょげて凹んでしまう。神経質な家康公も三方原の戦で武田軍に大敗を喫し、家臣たちが次々に身代わりとなってくれたおかげで命からがら浜松城に逃げ帰った。恐怖のあまり馬上で脱糞していて兄貴的存在の酒井忠次に笑われ、これは味噌だと言い訳したと言われる。以来、これがトラウマとなって、寝ていても、うなされることが多かったという。普通ならば早く忘れようとするところだが、あえて家康公はみじめな自分の姿を描かせた「しかみ像」を座右に置いて、たとえ勝っても慢心せず、常に反省して次の布石を打つ、ということを繰り返してついには天下を取ったのだ。地道に努力を積み重ねるのが神経質の本分である。
« 神経質礼賛 1208.強迫行為への対応 | トップページ | 神経質礼賛 1210.迷いの心 »
コメント