神経質礼賛 1224.農鳥(のうとり)
土曜の朝、いつもの時刻の電車に乗ると、通勤客は少なくてすいている。旅行に出かける客の方が多い。上り列車が富士川を越えて富士山がくっきり見えてくるとスマホやケータイで写真を撮る人がいて、通勤中の私もつい撮ってしまう。今年は暖冬のため雪が少ない。数日前の新聞に農鳥がみられたという記事があった。農鳥とは残雪の一部が鳥の形に見えることを河口湖周辺の地方で言う言葉であり、例年は3月から4月に見え、稲作の開始時期を告げる鳥、とされているのだが、今年は暖冬のため正月早々に農鳥が出現しているそうだ。
駿河湾側からも鳥に見えるような部分が現れることがあってもおかしくない。もっとも、富士市はかぐや姫伝説がある地だから、残雪全体を見て、長い髪を垂らしたかぐや姫の後ろ姿と見てもよさそうである。残雪の形が何に見えるか、いろいろあった方が夢があって楽しい。
精神科で行われる心理検査にロールシャッハテストというものがある。インクを垂らしたシミの図版を見せて、そこに見えるものを被験者に聞いて、心理状態を調べるものである。不安感を抱きやすい人は何でもないものも怖いものとして見てしまいがちである。森田正馬先生はよく江戸時代の俳人・横井也有の「幽霊の正体見たり枯れ尾花」という句を引用して患者さんに話をされた。怖いと思っているものも正体を知ったら大したことはない、ということはよくあるものである。ビクビクハラハラのままでよいから行動してみることである。
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