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2016年2月19日 (金)

神経質礼賛 1237.体重・血圧測定の意味

 外来通院患者さんの約半数位は診察の後に診察室の隣の部屋で看護師さんが体重・血圧を測ってカルテに記録している。血圧測定は、高血圧ばかりでなく、精神科薬の影響によって低血圧になっていないかのチェックになる。異常があると看護師さんが知らせてくれるので、あらためて診察室にお呼びすることもある。体重は何のために測るのか疑問に思う人もいるかもしれないけれども、食欲が落ちていないか、逆に食べ過ぎや飲み過ぎになっていないか生活習慣のチェックになる。うつ病やうつ状態の時には1カ月で体重が3キロや5キロ減少することもある。一方、統合失調症などによる無為自閉状態で日中ゴロゴロしていてジュースやコーラ類を多量に飲むとかスナック菓子を大量に食べて体重が激増する人もいて、さらに糖尿病のチェックが必要になってくることもある。

 多くの方々は血圧と体重を測られることに異議を唱えない。むしろ年配の女性だと、毎回、看護師さんとの会話を楽しみにしている人もいる。ところが、どうかすると神経症の人で妙にこだわる人がいる。体重が多くなっていると嫌だからと頼みもしないのにパンツ1枚になって体重計に乗る男性がいる。また、「服を着たまま測ったって意味がない」「血圧は内科でいつも測っている」と言って拒否した人がいた。別に料金がかかるわけではないし、うつ状態のチェックなどにもなる、と説明すると、「私はうつ病ではなくて神経症だと言われている。先生が言っていることはおかしい」と強く主張するため、測らないことにした。これぞこだわりが強い神経症である。彼が言っていることには一理ある。夏と冬とでは衣類の重量が変わるから正確な意味での体重測定にはならないのは確かだ。しかし、学校の身体検査ではないのだから、正確さは必要ないのである。それに、誰でもうつ状態になることはあり得る。大きなストレスを抱えていて気が付かないうちに体重が減少していることもあるから測る意味はあるのだ。彼のように神経症の屁理屈を押し通そうとすれば些細なことで周囲の人との軋轢が生じて社会適応も悪くなる。こだわりはそのままに放置して神経質を仕事や勉強に向けてくれればよいのであるが。

この外来での体重・血圧測定は、それに対する反応をみることで、実は隠れた心理検査にもなっているのである。

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