神経質礼賛 1261.山の中の施設
今日は特に予定がなく天気がよいので、母にどこか行きたいところはないかと聞いたら「お義姉さんのところへ行きたい」と言うので、水見色という山間部にある老人施設へ向かった。
街中から車で45分くらいかかる。初めて行く場所だし、このところ山道を運転していなかったので、狭路のすれ違いはハラハラドキドキである。後ろから飛ばしてくる車には先に行ってもらう。狭い所では手前で待って対向車が通るのを待つ。茶畑が多く、鮮やかな新緑が美しい。案内板のおかげで迷うことなく施設に着いた。
受付でエレベータの暗証番号を教えてもらい、伯母のいる2Fへ上がる。ホールには20人ほどの入所者がいたが、どこにいるのかわからず、職員に聞いてソファに座っている伯母を見つけた。両膝を悪くして歩けなくなり、認知症も進んでしまって、いつも無表情で、子供たちの顔もわからなくなってしまったと聞いていたが、今日は機嫌も良さそうで、「○○(息子の名前)さんはよく来てくれますか」と問うと、「うん、よく来てくれるよ」と話を合わせてくれた。母が「何か欲しいものがあったら持ってきますよ」と言うと、「別に何もいらないよ」と答えた。介護はよく行き届いている様子ながら、入所者同士の会話はなく、良い意味での刺激が乏しいから、ますます言葉を忘れていきそうである。
伯母と別れて廊下を歩いている時に、「私もこういう所に入るのかねえ」と杖を突きながら母が言う。「やれるところまで今の家で生活してもらうよ」と答える。そういう私だって歳を取ったらどうなるかわからないのである。
山を少し下った所にその地区の物品を売る店があってのぞいてみる。草餅とかよもぎ饅頭があったら買おうと思ったがあいにく売り切れである。一旦、母を家まで送った後、出直して街でよもぎ饅頭を買って届けた。風薫るこの季節、草餅やよもぎ饅頭が美味しい。邪気を払うだけでなく、元気も出そうである。
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