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2016年7月29日 (金)

神経質礼賛 1290.日新又日新(2)

森田正馬先生が患者さんの指導の際によくエジソンを引き合いに出して「日新又日々新」(ひにあらたにしてまたひびにあらたなり)ということを言っておられ、色紙には「日新又日新」と書かれていたことは141話に書いた通りである。この言葉は儒教の四書の『大学』の中にあり、元は中国の殷王朝初代・湯王(とうおう)の言葉と伝えられる。湯王は善政を行ったとされ、この言葉を洗面器に刻み、自らを戒めていたと言われている。神経質人間の松下幸之助(211話)もこの言葉を好んでよく使い、「日に新たやね、旧態依然はあかん」と部下に注意し、色紙にしたためることもあったという。森田先生は「神経質者のための人生教訓」の中で「人生の活動」と題して次のように書いておられる。


 
 人には、有能・無能・各大差がある。

 無能の人は、例へば、毎日同じ處をブラブラと散歩し、床の軸物は、自分にも読めぬ同一のものが、年中かゝつて居り、常に同じ経文を読誦して居るやうなものであり、有能の人は、一寸の外出にも、必ず有用の仕事をして、新しき處を探検するとか、盆栽・美術品にも、興味を持つとか、閑さへあれば、絶えず有益の書を読破するとかいふやうなものでもあらうか。

 与へえられた職業に、絶えず忠実に、十年一日の如く働いて、少しも出世の出来ぬ人と、「日新又日々新」に、絶えず工夫発展して、其事業を後世に残す人との差別も、こゝから生ずるであらう。(白揚社:森田正馬全集第7巻 p.499-500


 
 「十年一日の如く働いて少しも出世の出来ぬ人」とはまさに私のことを言っておられるようであり、ドッキリする。常に神経質を活かして創意工夫をこらし努力を積み重ねていくように、という御指導である。少しも出世しないまま果てていく身ながら、もう少し努力をしなくてはなあ、と反省することしきりである。

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コメント

常に神経質を活かして創意工夫をこらし努力を積み重ねていくように・・

森田療法をしって30年以上たっているのに、無為の自分は恥じ入ります

先生はすでに著作も公になされましたし、こちらのブログも継続発展中でございます

四分先生は家康のようにじっくり坂を登っておいでです

たらふく様

 コメントありがとうございます。過分な御評価をいただき恐縮です。

 神経質は動き出すまでに時間がかかりますが、一旦動き出したら簡単には止まらないという森田先生が言われた「重い車」の特性がありますので、せめて、それを生かして地道に活動していこうと思っています。

香菜子です。今回の森田先生の考え方の記事、いつも以上に目から鱗でした。神経質を活かして努力する、そうですよね。神経質は性格的欠陥や人格的欠陥、人間的未熟さになる場合もあるけれど、その欠陥や欠点をあるがままに受け入れながら活用して努力する、それが森田先生の森田療法の精神ですよね。森田療法の考え方の基本は身に付けたと傲慢高飛車な思い込みをしていましたが、まだまだ学ぶことが多いと実感しました 香菜子

香菜子 様

 コメントいただきありがとうございます。

 森田先生の言葉には私自身いつも叱咤激励してもらっています。そして、いかに生きるべきかの道しるべでにもなっています。時代は変わっても輝きを失うことはありません。このブログ名「神経質礼賛」も森田先生の言葉の中からいただいたものです。神経質を宝の持ち腐れにしないように行動していきたいものです。

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