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2016年7月22日 (金)

神経質礼賛 1288.働いて元気になる

 一昨日は5年に1回の精神保健指定医更新のための研修会を受けに東京へ行った。朝6時に家を出て一番の新幹線に乗る。新宿には8時頃に着き、会場の京王プラザホテルへ。参加者は300名。昼食時間を除き、会場に缶詰状態で講演やシンポジウムを聴く。普段の業務に深く関わる話が多く、とても参考になる。厚労省の精神保健課長による行政の現状についてのデータを見ると、同じ制度でも都道府県によってよく利用されていたり全く利用されていなかったりしていることがわかる。午後のシンポジウムは医療問題の事例検討だったが、それに関連して参加者から行政側からの理不尽な「指導」についての批判意見が出ていた。常に行政側から医療機関側に対して一方的な「指導」が行われるが、逆に質問はできないし、全国的な統一見解があるわけではない。都道府県・市町村の担当のお役人によってあまりにも対応にバラツキが大きいことで医療の現場では困っているのである。どうせ一方的な上意下達ならば、せめて厚労省が詳細なマニュアルを作って公表し、対応を統一してもらいたいものである。

さて、一番印象に残ったのは、精神障害者の社会復帰に熱心に取り組んでいる病院の院長の講演だった。本人が働きたいという意欲を示した場合には、症状が重いから無理というように決めつけず、積極的に就労支援を行っており、それにより高い就職実績が得られているという。また、就業・生活支援センターには自分自身が病気の経験をしたスタッフを配置してよりよい効果を上げているとのことである。その後で、統合失調症のため高校を中退し入院も経験し、薬の副作用に悩んできたが、現在はスタッフとして就労支援の仕事に従事している女性が壇上に立ち、自らの体験を語ってくれた。こういう場に出て話をするにはとても勇気のいることだったと思う。身をもってこの講演のテーマ「働いて元気になる」を示しておられた。会場には大きな拍手が沸き起こった。私の隣の席で聴いていた女医さんは涙ぐんでおられた。

当ブログでも「仕事が病気を治す」ということを何度か書いている。もちろん、仕事には苦労があり、ストレスにもなりうるけれども、働いて人の役に立ち、自分の存在意義を発揮していくことで、人はより健康的になっていく。森田療法が教えるところの、症状はあっても気分は晴れなくてもできる仕事をしていくということは神経症に限ったことではなく、病気である人にとっても、病気でない人にとっても大切なのだと思う。

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