神経質礼賛 1296.アンガーマネジメント
土曜日の日本経済新聞に付いてくる「NIKKEIプラス1」の8月13日版3ページに、「怒りっぽい性格、直したい」「怒りの内容 記録・点数化」という見出しのもと、アメリカで開発されたアンガー(怒り)マネジメントのことが紹介されていた。具体的な方法の第一は怒りの内容と怒りのレベルを点数化したものを記録する。その際、人生最大級の怒りを10点満点、穏やかな状態を0点とする。第二は怒りを感じた時は怒りのピークが収まるまで6秒待つ。第三は怒りそうになった時に、許せる、許せないの境界線を意識し、その2択ではなく、「まあ許せる」ゾーンを意識する。というものだ。広い意味では認知行動療法の中に入る訓練法になるかと思う。強い怒りが減らせたり、怒りにくくなったり、怒りをひきずらなくなったり、受け流せるようになったりする効果があるそうだ。
以前、90秒ルール(442話)について書いたことがある。たった6秒待てば怒りのピークが収まる、というのはちょっと短すぎないかと思う。「怒」メーターが高感度過ぎる私の場合は6秒では厳しい。その場を外してトイレにでも行ってくる位の間合いが必要なように感じる。それに、怒りの内容や点数を記録することができるような人は、そもそもキレやすい人ではなく、怒りをガマンできる人なのではないだろうか。とはいえ、この方法で怒りやすいという悩みが解決できるのならば、大いに結構なことである。
怒りを感じること自体は自然なことでどうにもならない。それに、時間が経てば怒りのような一時的な感情は消失していく。だから、それを理屈でどうにかしようというのではなく、やらなくてはならない行動をやっていく、というのが森田療法的な対応法なのである。森田正馬先生が「感情の法則」と言われたものをもう一度思い起こしてみよう(三法則版は247話、四法則版は442話・766話に記載)。
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怒りを数値化なんていうのがもう机上の空論ですよね


寿司とすき焼きの旨さを数値化してみろ、ってのと同じくらい使えない理論ですね。
怒りはとにかく森田先生の感情の法則に従ってやり過ごすのが一番です。そうしないで即反応すると二次、三次の大被害に発展してしまいます。
同じ迷惑行為を受けても自分より弱そうな相手には突撃しますがヤクザ風や暴走族風には、「まあ今度だけは見逃してやるか」とその場を去ります
逃げるとか意識の切り替えが大事ですね
投稿: たらふく | 2016年8月16日 (火) 17時43分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
アンガーマネジメントがピッタリ合う人もいるでしょうけれども、頭でっかちで強迫的な神経質の人にはこだわりを強めてかえって逆効果のおそれも考えられます。
「即反応すると二次、三次の大被害に発展する」はまさに仰る通りです。ヤ○ザ系の人間の挑発に即反応して危険な思いをしたことは何度かあります(苦笑)。
投稿: 四分休符 | 2016年8月16日 (火) 22時18分
香菜子です。わたしも恥ずかしながら癇癪持ちで感情のコントロールができないことがあります。何かに怒りを感じるとその事をを考えるたびに怒りが増幅されて、絶対に許せないと思ってしまい、それをきっかけに人間関係トラブルになったり嫌われたりしてしまうんです。そういうときこそ森田先生の感情の法則が役に立つのですね、わたしにとって森田先生の森田療法は心の万能薬です。森田先生の考え方、できれば子供の時に知りたかったです 香菜子
投稿: 香菜子 | 2016年8月18日 (木) 18時25分
香菜子様
コメントいただきありがとうございます。
歴史上の偉人で怒りっぽい人としてまず思い浮かぶのが私が敬愛する楽聖J.S.バッハです。後に奥さんになる女性とデートしているところをからかわれて剣を抜いたとか、指揮中に下手な演奏をした楽団員にカツラを投げつけたとか、いろいろなエピソードがありますし、転職回数もハンパないです。でも、バッハが作曲した協奏曲の第二楽章はゆったりとしたとても美しい旋律の名曲が多く、自己治療していたのだろうなと思います。
森田先生の「感情の法則」は現代の脳科学からみてもリーズナブルなものかと思われます。
投稿: 四分休符 | 2016年8月18日 (木) 22時27分