神経質礼賛 1354.LDLコレステロールの怪
郵送されてきた健康診断の結果を見て妻が悲鳴を上げる。動脈硬化の原因とされ悪玉コレステロールと呼ばれているLDLコレステロール(LDL-C)が高値だったのだ。「こんなに気を付けているのにどうしたらいいのよ!」と。何しろ野菜や大豆製品は大量に摂取しているし、肉よりは圧倒的に魚が多く、冷凍食品は使わず、揚げ物は一切家では作らない。LDL-Cを下げるという食品ばかり食べているのに異常高値で、揚げ物やインスタントラーメンを時々隠れ食い(笑)しているその夫は正常値というのは許せない、というわけだ。八つ当たりされては困るので、女性は年齢とともに高くなりやすいことを説明し、2014年に発表された新基準をプリントアウトして見せた。
従来からの基準だとLDL-Cの正常値は60-119mg/dlであり、140以上だと治療対象とされてしまう。しかし、日本人間ドック学会が新たに示した正常値は男女別、女性については年齢別になっていて、男性が72-178、女性が61-152(30-44歳)、73-183(45-64歳)、84-190(65-80歳)と大幅に緩和されている。もっとも、この基準はまだ医療界に浸透しているわけではない。すでに高脂血症としてコレステロールを下げるスタチンと呼ばれる薬を飲み続けている「患者」さんが多数いるのだから、今さら変えられても、ということなのだ。
従来から安易にスタチンを処方することに懐疑的な医師は少なくなかった。そもそもLDL-C悪玉説に疑問を投げかける研究者もいる。LDL-Cは細胞壁を作る上で重要な役割を果たす体に欠かせないものであるし、LDL-Cが高い方が感染症に強く長生きできるという研究結果さえあるという。HDL-Cが善玉でLDL-Cが悪玉と簡単に決めつけるのはおかしいということだ。「善悪不離」と書かれた森田正馬先生の色紙が思い浮かぶ。
結局は食生活が偏らないように気を付けて適度に歩いていれば、コレステロールを下げる薬を飲まなくてはならないケースはそれほど多くないのだろうと思われる。
« 神経質礼賛 1353.確認しようかどうしようか | トップページ | 神経質礼賛 1355.ヴァーチャル・セデーション »
コメント
« 神経質礼賛 1353.確認しようかどうしようか | トップページ | 神経質礼賛 1355.ヴァーチャル・セデーション »
「揚げ物やインスタントラーメンを時々隠れ食い(笑)」ですか? うまいですよね。

汁残せますか? 難しいですよね
最近は玉子は2個以上食べても問題ない、と発表されたようですね。ゆで卵が好きで、1日に6個食べる日もあります
これは改めようと思っております。
投稿: たらふく | 2017年2月10日 (金) 13時44分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
そうですね。スープは半分は残そうと思いながら、おいしいと、つい、もう一口、二口、飲んでしまいます(笑)。
たらふく様は卵好きでしたか。森田正馬先生の卵好きは有名でした。1日にゆで卵を10個でも食べていたそうです。カレーもお好きで2杯・3杯とおかわりするので、妻の久亥さんが注意すると、勤務先の根岸病院に出向いてカレーとゆで卵を隠れ食いなさっていたそうです。
投稿: 四分休符 | 2017年2月10日 (金) 19時05分