神経質礼賛 1358.吉祥寺
高校時代所属していた弦楽合奏部の私より5年下で東京在住の人たちがよく集まって練習している。ヴァイオリン2人・ヴィオラ1人・チェロ1人でちょうど弦楽四重奏ができるメンバーなので、この集まりは長続きしているらしい。時々私にも「よかったら参加しませんか」とお誘いがかかる。一昨日は定例のメンバー以外に私や他のOBも加わって8人で合奏を楽しんだ。会場は吉祥寺にあるY楽器の練習用貸スタジオである。
土曜の半日の仕事を終えてそのまま楽器を肩にして東京へ向かう。あいにく見たい展覧会がないので、そのまま吉祥寺へ直行する。吉祥寺駅で降りるのは初めてである。集合時刻まで1時間半。事前に見どころを調べていなかったので、駅の案内地図を見て南口から井の頭公園へと向かう。路上禁煙となっていて、平気で喫煙している不届き者はほとんどいないのはとてもよい。寒いけれどもそれなりに人はいて、池には家族連れやカップルのボートが行き来している。桜の季節ならば池の周りが花満開になって賑わうだろうと思う。また駅に戻り、今度は北口へ出る。有名なハーモニカ横丁がある。まだ4時前だというのに立飲み屋には結構客が入っている。ちょっと新宿駅西口の思い出横丁を思わせるけれども、飲食店だけでなく古くからの和菓子屋があったり花屋があったり衣料品・雑貨店もあったりしてとても面白い。つい徘徊してしまう。横丁を出ると長い行列ができていて、メンチかつの評判店らしい。昔風の大きな乾物屋も健在だ。明るいサンロードという商店街もあるけれども、やはりこのハーモニカ横丁の存在感は大きい。周囲に懐かしい昭和の風情を発散している。
事前に中心メンバーである写真家のK君が会場までのルートを詳しく書いたメールを送ってくれていたので、迷わずにビルの5階の中にあるスタジオに入ることができた。こういう神経質は実に助かる。定刻にメンバー全員が集合し、モーツァルトを中心にハイドンやバルトークなどの弦楽合奏曲を次々に弾いた。ヴィヴァルディ「四季」もなんと全曲弾いてしまった。2時間半があっという間に過ぎ、二次会へ向かう東京勢と別れて帰宅の途についた。
そういえば吉祥寺に吉祥寺というお寺はないよなあ、と気になる。神経質ゆえ調べてみると、本郷にあった吉祥寺が江戸時代の明暦の大火で焼失し、焼け出された門前町の住人達がこの地を開墾して吉祥寺に愛着を示して吉祥寺村と称したのが始まりなのだそうだ。古いものを残しながら新しいものを開拓する精神が脈々と現代につながっている。住みたい街としてよく挙げられるのも納得できる。
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楽器ができる人の幸せは計り知れないですね。
同窓の仲間にも恵まれて音楽家が最も愛するという "弦楽四重奏"が楽しめるなんて至福です。楽器の習得は壁の連続で神経質者には挫折の悪魔が常に迫り来ると思われます。わたくしはヴァイオリンもギターも電子ピアノも辞めました
その点、四分先生はやり抜かれた訳です
わたくしは去年から高校時代のテニス部の同窓とテニスを始めました。一人では絶対にできない趣味を再開できる人とのつながりに感謝大です。
投稿: たらふく | 2017年2月20日 (月) 21時42分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
仰る通りで弦楽四重奏は弾いている人間が一番楽しめます。田舎のホールでは有名な弦楽四重奏団がベートーヴェンを弾いても過半数の人々が眠りに落ちています(笑)。
テニスも歳を取っても楽しめていいものですね。私はたらふく様と逆でして、中学はできたばかりの硬式テニス部にいて朝早く登校して昼休みもテニス漬けでしたが、高校でテニス部は脱落。以来スポーツはやっていません。
いずれにせよ、趣味を通じての人の輪は貴重ですね。
投稿: 四分休符 | 2017年2月21日 (火) 19時00分