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2017年3月17日 (金)

神経質礼賛 1366.木の芽(このめ)時

 この時期、外来患者さんで「何となく調子が悪いんです」と言う方がチラホラおられる。少しずつ日が長くなり、暖かい日も増え、新芽が出始め、花々が咲き始める木の芽時とも呼ばれるこの時期。これから春本番だというのに何となく気分が今一つサッパリしない、というのは季節性うつ病の人ばかりではない。

 要因はいろいろ考えられる。だんだん暖かくなるとはいえ、三寒四温と言われるように気温の変化や天候の変化が大きく、体の方がついていけないということがあるだろう。人間も動物の一種だから、冬モードからより活動的な春モードへと体内では種々のホルモンバランスの調整が必要な時期なのかもしれない。そして3月から4月にかけては卒業・進入学・就職シーズン、出会いと別れの季節でもある。桜の開花時期には春祭りも多い。自分には直接関係はなくても、ニュースや新聞記事、そして折り込みチラシもそれに関連したものが多くなり、何となく世の中全体がワサワサしてせわしない感じになる。そうなると、自分だけが取り残されているような気分に陥りやすい。

 こうした状態になってしまったらどうしたらいいのだろうか。とにかく焦らずにまずは足元を固めることである。あれもやらなくては、これもやらなくては、と欲張らずに、60点から70点狙いで最低限の行動にプラスαくらいでいいのだ、というつもりで行動していくのがよいだろう。本格的なうつでない限り休みっぱなしはよろしくない。上り坂ではゆっくりでよいから自転車をこぎ続けていれば少しずつ進んでいき、いつしか平坦な道や下り坂にさしかかる。こぐのをやめたら倒れてしまう。それと同じである。もやもや気分のままにボチボチやっていればよい。そのうち気分が晴れる時はやってくる。

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コメント

年末に母が亡くなり、四十九日も過ぎ、来週から郵便配達の仕事につきます。自転車のお話にとても励まされました。有難うございます。

たらふく様

 お母様がお亡くなりになるまでの間、いろいろな御苦労がおありだったことと思います。また、今はぽっかり心に穴があいたようなお気持ちなのではないかと、心中お察し申し上げます。
 お仕事の方も雨の日・風の日と大変かと思いますが、そんな時には887話に書きました山頭火の句「だまって今日の草鞋(わらじ)穿く」のように、とりあえず今日一日、という心積もりで臨まれたら、と存じます。

四分先生、お言葉有難く、887話も改めて読ませて頂きました。
早くも崇高な境地に立ったような気がしてきました

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