神経質礼賛 1379.心臓ペースメーカー
先日、当直をしていて、深夜に高齢の患者さんが亡くなられ、御家族に電話で連絡した。この方は重症の不整脈があってペースメーカーを装着していた。必ず毎月面会に来て下さる御家族ではあるが、あまり近くにお住まいではなく、高齢の御家族が車を運転してきて頂くのも危険なので、夜が明けてから来ていただくことにした。30分ほどして御家族から電話があり、「ペースメーカーはそちらで外してもらえませんか。外さないと爆発するから火葬できないという話を聞いたことがあるんですが」と言われて、はて困った。あらためて病院のマニュアルを調べると、ペースメーカー装着患者さんが亡くなった場合、取り外しはしないことになっている。ネットで調べてみても、行政や循環器専門の学会による公式見解はない。朝になってケースワーカーが出勤してきてから調べてもらった。その方の手術をした循環器専門病院に問い合わせると、「県東部地区の火葬場はどこでもそのまま火葬できるが、その方の住所地の火葬場はわからない。炉が古いと火葬できない場合もありうる。また、こちらの医師が外へ出向いて御遺体のペースメーカーを外すことはしていない」とのことだった。さらに葬儀屋さんに問い合わせると、「その住所地の火葬場はペースメーカーが付いていても大丈夫なはず」とのことで、念のためさらに住所地の市役所に問い合わせて確認したところ「外さなくても問題ない」との返事があり、一件落着した。
日本国内で心臓ペースメーカーを装着している人は30-40万人いると推定されている。新たに年4万人の方が埋め込み手術を受けているという。そして、私は知らなかったが、ペースメーカーはすべて輸入品であり国産のものはないのだそうだ。そして火葬された場合、装置の破裂は起こるものの、爆発というレベルではないとのことだ。心臓ペースメーカーを埋め込んだ方の火葬については、行政なり専門医の学会から周知を図ってほしいところである。
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すごいお話ですね。なんでこんなこと面倒見なきゃいけないのか・・ってなりそうなところです。
四分先生は随所で人を救っていらっしゃいますね
投稿: たらふく | 2017年5月 3日 (水) 15時54分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
あまり一般的な話ではないかもしれませんが、心臓ペースメーカーを装着している方は増えていますので、もしもの時に御家族や関係者があわてることもあるかと思い、書かせていただきました。
投稿: 四分休符 | 2017年5月 3日 (水) 21時36分