神経質礼賛 1384.使いにくいウォークマン
ウォークマンと言えば、MD(ミニディスク)全盛期に録音可能なMDウォークマンを使っていた時期があった。LPレコードやCDから気に入った曲をMDにダビングして使っていたのである。MP3プレーヤーの時代になってからは国産メーカーがすっかり出遅れていたため、台湾や韓国メーカーのMP3プレーヤーを買い続けてきた。特に気に入って長く使っていたのはi-riverというメーカーの単3型乾電池もしくは充電池1本で駆動できる小さな三角柱型のT50で、操作性も大変優れていた。子供たちにはせがまれてi-podやウォークマンを買ってあげても自分はそのプレーヤーを使い続けた。容量が1GBのため今となっては小さすぎるけれども、買ってから10年経った今でもちゃんと使える。その後は、メモリで有名なトランセンドの8GB・USBメモリ兼用のプレーヤーを通勤用に使っている。私の場合、楽譜をパソコンで入力してソフトシンセでヴァイオリンやヴィオラ伴奏用音源、あるいは弦楽合奏の特定のパートのカラオケを作り、プレーヤーに入れておき、それに合わせて演奏する、という使い方もある。
とはいえ、以前からウォークマンは気になっており、このほどNW-A35という2万円ちょっとの機種を買ってみた。ハイレゾ対応を謳っているので、それに対応したヘッドホンを買い足し、ハイレゾ音源の楽曲を用意すれば高音質で聴くことができそうだ。まずはMediaGoという付属ソフトを駆動すると、パソコン上のすべての音楽データを取り込み始めた・・・のはよいがなかなか終わらない。この作業には3時間ほどかかった。そして、実際に聞いてみようとすると問題発生である。今まで使っていた機種のように、パソコン上に自分が整理してまとめたファイルを本体にコピーすれば、好きなフォルダに移動して好きなところから聞くことができる、という基本的なことができないのである。「アルバム」「アーティスト」「ジャンル」「リリース年」「作曲者」を選んで順番に表示された中から探し出さなくてはならない。これはあくまでもネット上で入手できる情報に準拠しているから、古い2枚組CDを取り込んだものなど、別のアーティストや作曲者にまとめられてしまっていたりする。間違っていることもある。ましてや自分で作った音源はすべて「不明」のところにごちゃごちゃに放り込まれていた。これをパソコン側から修正することはできない。これではスマホのプレーヤーの方がマシである。カセットテープやMDの頃のウォークマンよりは小さいとはいえ、大きさや重さも小型スマホといった感じで持ち歩くにはあまり適さない。一体何をするためのウォークマンなのだろうか。新しく発売されたCDやネット上から買った音源をこの中にため込んでおき、無線で飛ばしてスピーカーから聞くためのリモコン装置ということになろうか。私のように自作音源を鳴らすなどはもってのほかである。一度全部データを消して、入れるに適したCDを選んで入れ直していくことが必要なようだ。これほど使い勝手が悪いとは思わなかった。独善的で使う人の身になっていない、神経質が足りないのが、このメーカーがすっかり凋落してしまった要因なのではなかろうかと秘かに考える。
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MD使ってました。商品化されてすぐの高いのを買いました。編集できるのが楽しくてよく遊びましたが、1年ぐらいで故障し、メーカー診断で数万かかると言われ諦めました。MDは世代の互換性が不便で初期の再生専用機も持っていましたが、代が変わると新型で編集したMDを再生できませんでした(同じS社なのにヽ(`Д´)ノ)
わたしたちの世代ではまだ憧れの、世界に冠たる企業でした。どこかで顧客の使い勝手という一番の所を見失ってしまったのでしょう
投稿: たらふく | 2017年5月 8日 (月) 20時01分
たらふく様
コメントいただきありがとうございます。
中学生の頃、FMラジオやカセットテープレコーダー(ラジカセより少し前の時代)が欲しくてワクワクしながら電気店のショーウインドウをのぞきカタログを集めたものです。ナショナルや日立、東芝もいい商品を出していましたが、やはり行きつくところはいつもSONYでした。小遣いやお年玉を貯めて買いました。しっかりした作りで買ってよかったと思う製品が多かったのに今ではすっかり劣化してしまって残念の極みです。森田先生の言われた「人が便利なように」とか「ものそのものになる」は技術者にとって最も大事なことだと思うのですが。
投稿: 四分休符 | 2017年5月 9日 (火) 21時55分