神経質礼賛 1386.青もみじと楓花(ふうか)
前話に書いた智積院の境内は楓(かえで)の木が多かった。この寺は紅葉の名所としてはそれほど有名ではないけれども、きっと秋には美しい光景になるだろうな、と想像した。しかし、紅葉ほど派手ではないが、楓の新緑もまた美しく爽やかでこれもよい。最近ではJRや観光業界が「青もみじ」として宣伝しているのもうなずける。青い紅葉では矛盾する言葉に聞こえるけれど、まあ硬い事は言わずに、鮮やかな新緑の楓をそう呼んでもいいのではないかと思う。
境内を歩きながら楓の木々の鮮やかな緑に見とれているうちに、ヘリコプターの羽のような形の小さな赤い花を付けている楓の木を見つけた。これが楓花なのだろう。今まで見たことがなかった。ちょっぴりトクをした気分である。この部分がやがて種子となって風に吹かれて遠くへ飛んでいき、着地して、新たな地で芽吹くのだろう。生育によい環境のところへ行けるとは限らない。たまたま芽吹いた場所で一生懸命生きていくしかないのだ。人もまた同じ。森田先生の言われた「境遇に柔順なれ」(263・828話)であって、たまたま出会った環境の中で己の性(しょう)を尽くして生き抜いていくほかないのだ。
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