神経質礼賛 1392.取越苦労(2)
小心者の私は先の予定がとても気になって、あれこれ準備しなくてはと細かいことが心配になる。仕事で書かなければならない書類は次から次へと発生するので、とにかく早く作成しなくてはとハラハラする。生命保険の年払いや固定資産税や自動車保険や所属学会年会費など払うことが決まっているものは1か月以上前からお金を封筒に入れて用意しておき支払期間に入ったら即支払う。全くいい歳して、もうちょっと大胆になれないだろうか、と思うこともたまにはある。しかし、森田正馬先生は神経質のため取越苦労(700話)してよいと言っておられる。
神経質は真面目な性質のために、こまかく先々の事までも取越苦労をします。それは例へば金についても、ならず者は、ありたけの金を使ひ果たし、人の金までも借り倒すが、神経質は安全の上にも安全に貯金を積み立てなければ氣になつて居られないという風です。この氣にする事の細かいほど、上等の人間です。只、金を使ひ果す安楽と、貯金する苦労とは、比較になりません。堕落と出世との別れ路です。(白揚社:森田正馬全集 第4巻 p.588)
何とも有難いお言葉ではないだろうか。しかも「上等の人間」と褒めておられるのである。出世とは無縁ながら、堕落せずに何とかこうして生活していられるのも神経質のおかげに他ならない。「花は紅、柳は緑」(3話、拙著p.123-124)である。神経質らしく取越苦労しながら地道に生きて行こうと改めて思う。
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いつも楽しく拝読しております。
私もまさに取越苦労人でして、それによりうまくいった事もあります。しかし「もう少し効率よくスリムに事を進められぬものか」と時々辟易します。また用意周到に準備したつもりが思わぬ所でミスをして、腹の底から自分が情けなくなり「自分は本当の神経質者ではないのか」と思う事もあります。
しかし情けなく感じる自分や、神経質に辟易する自分をも、「あるがまま」に受け容れればよいのではないかと思うようになった今日この頃です。
投稿: 哀植男 | 2017年6月 5日 (月) 18時53分
哀植男 様
コメントいただきありがとうございます。
仰るように私も過剰に準備して無駄骨になってしまうことがよくあります。効率が悪いなあ、と思うこともありますが、リスク軽減のためには必要なことでもあり、一種の保険料なのだと考えています。
投稿: 四分休符 | 2017年6月 6日 (火) 23時07分