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2017年6月19日 (月)

神経質礼賛 1397.睡眠薬を飲んだら運転不可

 お笑い芸人T氏が14日午前2時頃中、都内で意識朦朧状態のまま運転し、道路のセンターラインをまたがる所に車を停車させて眠っていたという。蕁麻疹のため投薬されていた抗アレルギー薬のアレジオン(20mg)2錠、短時間型睡眠薬のレンドルミンD0.25mg1錠、睡眠薬ベルソムラ(20mg)1錠を牛乳とともに服用し、銭湯から運転して帰る途中で意識朦朧となって、通りかかったタクシー運転手の通報で警察が出動したということだ。事故を起こして犠牲者が出なかったのは幸いだった。非常識な薬の飲み方だとはいえ、安易な睡眠薬処方にも問題がある。また、調剤薬局は薬剤服用歴管理指導料を取って患者さんに正しい服薬のしかたについて指導を行うことになっているが、きちんと行われていたのだろうか。服用する側が理解していなければ説明したことにはならない。

 アレジオンは花粉症の治療によく使われ、現在は薬局でも販売されるようになった。第2世代抗ヒスタミン剤の中では最も眠気が少ない薬である。しかし、通常用量の倍の2錠を処方したら、眠気や注意力低下が出やすくなる可能性がある。レンドルミンDが血中最高濃度に達するのは服用後約1時間、ベルソムラが1.5時間位。血中半減期はレンドルミンDで7-8時間、ベルソムラが10時間とされている。いずれの添付文書にも「就寝直前に服用させること」と書かれている。短時間型睡眠薬の常識である。また、ベルソムラの添付文書には食事を摂って服用すると効果発現が遅れるとともに最高血中濃度が上昇することが書かれていて、「食事と同時又は食直後の服用は避けること」という記載もある。睡眠薬を服用してから入浴したために風呂で溺死する事例もある。

 T氏は以前から睡眠薬を常用していたとの報道もあるので、実際には過量服用していた可能性も否定できない。意図的な過量服薬でなくても、睡眠薬は一過性の記憶障害を起こすから、飲んだことを忘れて、また飲んでしまうこともある。特に睡眠薬常用者の場合、医療機関や薬局で、前回処方した日数よりも早く再処方していないか、といったチェックも十分していく必要がある。

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