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2017年6月26日 (月)

神経質礼賛 1399.そのまま前進

 現在、京都森田療法研究所の6月11日付ブログに、森田正馬先生の直弟子にして三聖病院の初代院長だった宇佐玄雄先生の講話音声が公開されている。病院閉院の際、森田療法にとって貴重な歴史遺産と言うべき数々の物品が廃棄寸前となっていた。三聖病院にお勤めになっておられた岡本重慶先生が私財を投じて病院横のマンションを借りられ、そうした物品を保管された。難を逃れた品々の中には、宇佐玄雄先生の講話の録音があった。今回、患者さんの日記を題材とした2時間余りの講話の録音から抜粋で、1.あるがまま(3分39秒)、2.そのまま前進(1分20秒)、3.煩悶即菩提(3分3秒)、と仮題を付けて公開されている。宇佐玄雄先生の少々早口の熱い語りは必聴である。長い年月を経た今にしても新鮮であり、時の流れを越えてパワーをいただける感じがする。東大路を走る自動車の音に交じって市電の走行音や警笛の音も入っていて、閉眼して聞けばタイムトラベルして数十年前の三聖病院の講堂にいるかのような不思議な臨場感がある。森田正馬先生の講演レコードの音声はメンタルヘルス岡本記念財団ホームページに公開されているし、鈴木知準先生の講話は知準先生の教えを受けた方々の正知会によりCDとなっていて関係者にお願いすれば聴くことができるかもしれない。宇佐玄雄先生の講話が公開されるのは全く初めてであり、研究者のみならず、神経症に悩む多くの人々にもぜひ聴いていただきたいと思う。岡本重慶先生の御労作に深謝いたします。

 今回公開された部分では、「あるがまま」(31話・250)という言葉にとらわれた誤解をしないようにという御注意もある。嫌だ、面倒だ、体がだるい、だから「あるがまま」に寝転んでいる、は間違いであり、嫌だ、面倒だ、体がだるい、そういったことはそのままに行動していくのが「あるがまま」であるという主旨のお話しをしておられる。さらに、苦しいのを取ろうとすることはしないで、そのまま前進していくよう指導しておられる。

 神経質人間は、苦しいことは少しでも避けようと、はからいがちである。実はそのことがとらわれを深め、新たな苦しみを作り出して、悪循環に陥るのである。頭で考えるのはやめ、とにかく体を動かして、そのまま一歩でもいいから前進することが大切だ。損得勘定はさておき、森田先生が言われたように、尻軽く手を出していく、そうなればしめたもので存分に能力が発揮できるようになり、神経質性格は長所として生きてくるのである。

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