神経質礼賛 1407.うなぎ茶漬け
子供が昔お世話になったピアノの先生が2、3年に1回、海外の弦楽四重奏団と組んでシューマンやドボルザークのピアノ五重奏曲をメインとしたコンサートを開いている。先日は前回と同様、ワルシャワ・ストリングカルテットと組んでの演奏会が銀座の王子ホールで行われたので聴きに行った。普段、東京に行った時の食事は牛丼屋で済ませてしまうことが多いのだが、このところの暑さでバテ気味なので、夕食は奮発してうなぎ料理屋へ行った。
うなぎが年々食卓から遠くなっている。スーパーに並ぶ国産うなぎ蒲焼は長焼きで2000円位。中国産でも1500円位する。店のうな重も3000円台からである。これでは簡単には口に入らない。そして資源枯渇のため、近い将来うなぎが全く食べられなくなる心配もある。うなぎの生態を解明して完全人工養殖できるようになってほしいものだ。
浜松に住んでいた頃、浜松駅近くの広小路に明治時代創業の「八百徳」といううなぎ屋があって、うなぎ茶漬けを売りにしていた。何度か店の前を通り一度食べてみたいと思いながらついぞ入る機会がなかった。昨日は有楽町駅近くの東急プラザにある「うなぎ徳」という店に入った。八百徳の肴町店が発祥だという。もっとも広小路の八百徳さんはホームページ上で関係を否定している。ともあれ、うなぎ茶漬けを注文する。名古屋の「ひつまぶし」と同様の食べ方である。おひつを開けると刻んだうなぎ蒲焼が御飯に乗っている。杓文字で茶碗に取ってまずはそのまま食べる。次は薬味(ワサビとネギ)を乗せて食べる。最後に蒲焼の上から出し汁をかけて茶漬けにする。どれも美味しい。3通りの味が楽しめて良い。ひつまぶし・うなぎ茶漬けは、最初は型崩れした蒲焼を利用したまかない料理だったという。お店のうなぎ茶漬けはきれいな蒲焼に包丁を入れているが、浜松でよく売られている瓶詰めの刻んだうなぎの蒲焼は型崩れしたものや半端になったものを利用しているのであろう。それを利用すれば、家庭でも手軽にうなぎ茶漬けが楽しめるというものだ。半端なものでも上手に利用して価値を最大限に高めてやる、というのはまさに「物の性(しょう)を尽くす」(350話)に他ならない。
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